研究課題
強力な鎮痛作用がある神経ペプチド・エンドモルフィンが脳から単離された。これは今からおよそ20年も遡る1997年のことであった。最近では、エンドモルフィンとアトピー患者を苦しめる痒(かゆ)みとの関連も非常に注目されている。しかし、意外なことに、ペプチドが単離されたにもかかわらず、未だにエンドモルフィン遺伝子は不明のままなのである。こうしたなか、申請者は「ゲノム中に遺伝子が見つからないのは、酸化ストレスなど特殊条件の下で、mRNAが転写後の修飾、すなわちRNA編集を受けてエンドモルフィン遺伝子が完成するからだ」と思い至った。そこでこの証明に挑戦している。さらに、神経ペプチド遺伝子の特徴として未同定の神経ペプチドも同時にコードされる可能性が非常に高く、本研究の新規鎮痛薬および抗痒薬開発に対する影響は計り知れない。第二年度(最終年度)となる本年度は、採択後すぐに申請した次世代シークエンサーを用いた網羅的塩基配列解析「ゲノム支援」の「大規模ゲノム情報生産及び研究リソース構築支援活動」で採択された、網羅的RNAシークエンスについて実験試料のシークエンス結果を送付頂き、解析した。現在のところ、標的配列をもつ神経ペプチド遺伝子の発見には至っていない。しかし、初年度より継続していたエンドモルフィン様ペプチドをコードしていると考えられた遺伝子の断片をPCRにより増幅し、クローンの取得に成功した。このペプチドの配列はエンドモルフィンとは異なるものであった。遺伝子構造の全容を解明するために、RACE法によりこのペプチド遺伝子のクローニングも試みた。だが、クローンの取得には至らなかった。一方で、このペプチドを化学合成し、オピオイド受容体に対する結合試験を実施した。このペプチドは結合能が低いものの、初年度同様にオピオイド受容体に結合することが確認された。
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Biopolymers Peptide Science
巻: - ページ: -
DOI:10.1002/bip.22792
Peptide Science 2015
巻: - ページ: 181-182
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巻: - ページ: 203-204
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巻: - ページ: 201-202
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