研究課題/領域番号 |
26670291
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
西田 和彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
井上 明俊 関西医科大学, 医学部, 助教 (50709152)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 急性掻痒動物モデル / グルタミン酸受容体 / 三叉神経節 / クロロキン / c-fos / 一次求心性線維 / 大槽内投与 / ガストリン遊離ペプチド |
研究実績の概要 |
申請者らは、NMDA受容体GluN2Bサブユニットの1472番目のTyr残基(Y1472F)がリン酸化できないノックインマウス(Y1472F-KI)を用いて、神経障害性疼痛の維持だけでなく急性掻痒にも関与することを明らかにした。 1)クロロキンの皮下注入に伴う掻痒行動においてもグルタミン酸NR2Bの1472Fのリン酸化が急性掻痒モデルで痒みの発生に関与していることを明らかにした。 2)掻痒行動に伴う一次求心性線維の三叉神経路核に到達部位をc-fosの発現で明らかにした。掻痒行動が減弱しているNR2BY1472Fノックインマウスで、c-fosの発現が低下していることを明らかにした。 3)掻痒行動の中継地である三叉神経路核での神経伝達物質の関与を検討するために、NMDAを大槽内投与して、痒み行動が生じることや、c-fosの発現が両側性に増加することを示した。 4)グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬やガストリン遊離ペプチド(GRP) 受容体拮抗薬を大槽内投与し、末梢の痒み刺激の三叉神経路核における情報伝達経路を明らかにして論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に記載したような研究実績が上がっている。しかし、BNPが痒みの神経伝達物質であるという(Science 340:968-971, 2013)の論文は現在、他の研究者との論争の中にあり、再現性が疑わしいので、現在はGRPに焦点をあてている。
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今後の研究の推進方策 |
1)グルタミン酸NR2BサブタイプのY1472のリン酸化の関与が確認できたので、痛みと痒みの神経伝達経路の違い、相互作用を明らかにする。 2)痛みと痒みの伝達経路を明らかにするために、c-fosやArcのプロモーターの下流で蛍光タンパクが発現誘導されるトランスジェニックマウスを入手してin vivoで解析を行う。 3)急性掻痒モデルが確認できたので、グルタミン酸NR2BサブタイプのY1472のリン酸化の関与を検討し、慢性掻痒モデルの伝達経路を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の分子イメージングのトランスジェニックマウスで使用予定していたBNP関連のマウスの作製と飼育繁殖の費用について、「現在までの進捗状況」で記載した理由で実験を中断したことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
分子イメージングに用いるトランスジェニックマウスがやっと決まったので、今年度のトランスジェニックマウスの購入の費用やそのマウスの解析に当てたい。
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