研究実績の概要 |
昨年度、新聞記事およびTwitterの放射線関連用語の感性分析、放射線関連Twitterの減弱過程の推計、放射線関連ツイッター数の地域性分析の3研究を行った。 感性分析では、読売新聞 、朝日新聞 、毎日新聞の 2011年3月より2012年3月までの期間の放射線の語句 を含む7,941記事と 、同じ期間内のTwitterにおける投稿のうち、放射線の語句を含む 18,891,284件を対象として、対象語句に係る形容詞の頻度算出と重み付けを行った。その結果、「放射線」「放射能」の語句については印象の推移は似ておらず、「放射性物質」の語句についてのみ印象の推移は似ていることが明らかになった。本研究の結果より、市民は放射線に関する報道を過剰に恐れてはいない可能性が判明した。 減弱過程の推計では、2011年3月11日から2012年3月10日までの、“Sv(シーベルト)”を含むTwitter投稿125,363件を抽出し、時間毎のTwitter投稿数率により生存曲線を作成し、統計ソフトSASにより分析した。その結果、特定の人物および機関が情報発信しており、偏りが見られた。“Sv(シーベルト)”のTwitterでの半減期は、295.8日と推測された。 地域性分析では、2011年3月11日から2012年3月10日までの「放射線」、「放射能」、「放射性物質」の語句を含み、緯度・経度情報が含まれるTweeter投稿45,829件を対象とし、4地区(福島県、福島県周辺、東京電力管内エリア、その他)毎に1ヶ月毎のTweet数を集計した。その結果、大事故発生時の人口10万人当たりのTweet数は福島県で7.05、福島県周辺で2.07、東京電力管内エリアで5.23、その他で1.35であった。また事故発生時を1とすると福島県では2か月後に2.5倍となったのに対し、他地区ではなだらかに減少し0.7~0.8となった。地区別には東京電力管内エリアからの発信が多く、時間的な傾向は見られなかった。
|