本研究では多結晶タングステン針に絶縁性窒化物薄膜を成膜し高電圧を印加すると、タングステン先端が非常に先鋭化したナノチップ電子源が作成されることを見つけた。ナノチップ電子源の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により先端が単結晶化し、また電子線回折により体心立方晶系<110>面であることが分かった。この作成プロセスは高電圧印加されたタングステンが電子移動により絶縁膜を貫通して電界放射を起こし抵抗過熱された結果、タングステンが単結晶成長したものと考えられる。この現象を利用すると高輝度電子源や小型X線管へと適用できる。医療分野ではファイバースコープの様な超小型X線管への応用が考えられる。
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