抗酸化物質であるリポ酸は熱、光等の物理的な刺激に弱いために包接安定化することを検討した。水溶性シクロデキストリンと効率よく包接することを確証し、各種スペクトルにおいて確かめた。その過程でリポ酸のC-S、S-S結合がラマンスペクトルにおいて特徴的な波数を示すことが明らかになり、こうした特色を他の生体高分子(蛋白質)に生かせないかを検討した。また、リポ酸の細胞経路に及ぼす影響を網羅的に解析することにより全体像を把握しようとしてメタボローム解析を行なった所、リポ酸の投与はがん細胞のエネルギー経路にネガティブに働きかけ、ピルビン酸、乳酸の生成を抑え、糖新生の機構を抑制することが明らかになった。
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