研究課題
本年度は、歯周病治療介入による肝機能指標への影響について検討した。当初計画した肝機能異常かつ飲酒歴のない者は、その該当者数が少なく研究予定期間内の実施が困難であったため、平成23年度から実施していた、境界型糖尿病者を対象に実施した歯周病治療の介入研究によって、肝機能指標への影響について分析を行った。対象者は境界型糖尿病者71名であり、研究デザインはクロスオーバーデザインの無作為化比較試験である。対象者を前期介入群・後期介入群の2群に分け、前期介入群には前半6か月に、後期介入群には後半6か月に、それぞれ歯周病治療の他、歯科保健指導、医師、栄養士による運動指導・栄養指導を行った。歯周病治療により歯周ポケットの最大値ならびにプロービングによる出血点の数は改善した(p<0.01)。しかしながら、集団全体としては介入により肝機能指標は改善傾向がみられたが統計的に有意な変化は見られなかった。飲酒習慣によって層別化した解析の結果、γ-GTPについては、飲酒習慣ありの者では特に改善していないが、非飲酒者については、介入効果が強い傾向がみられた(変化量、介入期:-1.94 IU/L、非介入期:+1.64 IU/L、p=0.09)。