研究課題
【研究の背景】人の集団における男児外陰部異常症と化学物質曝露の関連性が指摘されて久しい。特に尿道下裂は前世紀末から上昇していることが疫学的に報告されているため、環境汚染物質が誘発しているとの仮説がある。【研究目的】この仮説を検証するため、尿道下裂患者手術時に微量採取される「新鮮包皮サンプル」を利用し、回収できるトータルRNA・ゲノムDNAを用いて曝露指標遺伝子発現レベル、DNAメチル化レベルを解析した。【研究の方法】まず、表皮でも化学物質の曝露指標として適用可能なバイオマーカー(CYP1A1とCYP1B1)のmRNA発現レベルを定量的RT-PCRで測定した。対照群には埋没陰茎表皮を用いた。また、発症に関与すると考えられる性ホルモン関連遺伝子群のエピジェネティックな変化をバイサルファイトゲノミックシークエンス法で測定し、疾患との関連性も検討した。【研究成果の概要】尿道下裂、埋没陰茎ともにCYP1A1とCYP1B1の発現レベルに群内での有意な相関関係が認められた。また、CYP1B1発現レベルは尿道下裂患者で埋没陰茎より高い傾向にあった。皮膚における薬物代謝酵素発現はPAH等の曝露レベルを反映するとの報告がラットなど一部の動物種で報告されており、今回の結果は疾患と曝露との関連性を示唆しているかも知れない。
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