研究課題
大阪のオフセット印刷工場の労働者に多数の胆管癌症例が発見された。労働者はいずれも高濃度の1,2-ジクロロプロパン(DCP)に長期に曝露し、DCPが有力な原因物質候補として注目された。一方、過去のマウス、ラットを用いたDCPの2年間発がん実験では、胆管癌は観察されておらず、マウスで肝細胞がんが観察されていたのみである。DCPに構造が類似する1,2-ジクロロエタン、1,2-ジブロモエタンではグルタチオンSトランスフェラーゼT1(GSTT1)によるグルタチオン抱合、エピスルフォニウムイオン形成による活性化が明らかにされているため、上記の胆管癌発生の種差がGSTT1の発現部位の種間での違いによって説明できる可能性がある。本研究では、GSTT1の発現の分布、DCPによる誘導状態をさまざまな実験動物について調べるとともに、ヒトの胆管癌誘発を再現する適切な動物種の同定、胆管癌の動物モデル確立を目指した。C57BL6/J、 Balb/cA、 F344、 Syrian golden hamster, Guinea pigにDCPを0、300、1000、3000ppm、1日8時間、7日間曝露した。断頭して肝臓を剖出し、4%パラフォルムアルデヒドリン酸緩衝液にて固定した。GSTM1,GSTT1、GSTPi、Ki67に対する抗体を用いて免疫染色を行った。GSTT1発現には大きな種差があり、GSTT1はラット、マウスではほとんどの肝細胞で陽性であったのに対し、ハムスターでは一部の肝臓および胆管上皮細胞で陽性であった。対照群と曝露群との差は明瞭でなかった。GSTT1の分布によって種差を説明することは困難かもしれない。
2: おおむね順調に進展している
研究代表者の所属変更に伴う実験設備移動にも関わらず、学生などの研究協力者の努力もあり、ほぼ当初計画通り研究の目的が達成されている。
TUNEL法によるアポトーシス検出、BrdUを用いた細胞増殖変化を調べることで適切な動物モデル選択を行う。
実験が予定よりも遅れているため。
細胞増殖を調べることを目的とした免疫染色をおこなうために使用する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (23件)
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