研究課題
近年の都市部を中心として循環器疾患の発症率の増加には、欧米化したライフスタイルに加えて社会心理的ストレスの増加の影響が考えられる。社会心理的ストレスは肥満、糖・脂質代謝異常の原因になるだけでなく、肥満、糖・脂質代謝異常を有することがうつ症状、社会的不適応、睡眠の量・質の低下の誘因になる可能性が考えられるが、こうした心身連関を前向き疫学研究によって検討した報告は殆どない。そこで、本研究は長期間疫学研究を実施している地域・職域集団を対象として、社会心理的ストレスと肥満、糖・脂質代謝異常との心身連関を前向きに検討することを目的とした。大阪と秋田住民の健診受診者4,780人(男性1,786人、女性2,994人、平均年齢59歳)を対象とした。対象者には、健診受診時に、質問紙にてうつ症状の有無を調査するとともに、健診時のメタボリックシンドロームおよび構成因子を調査した。うつ症状とメタボリックシンドロームとの関連を横断、縦断的に検討した。「うつ症状なし」の者に比べた「うつ症状あり」の者の糖尿病、高血圧、脂質異常、メタボリックシンドロームの性、年齢、肥満度調整オッズ比は、男女計でそれぞれ1.54(95%信頼区間:0.98-2.43)、0.99(0.75-1.32)、1.36(1.00-1.86)、1.40(0.90-2.17)であった。有意ではないが、ベースライン時のうつ症状はフォローアップ時のメタボリックシンドローム発症のリスクを高くする傾向がみられ、また、ベースライン時のメタボリックシンドロームはフォローアップ時のうつ症状発症のリスクを高くする傾向がみられた。したがって、心理的因子とメタボリックシンドロームとは相互に連関している可能性が示唆された。
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