研究課題/領域番号 |
26670335
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低出生体重児 / 妊娠期間 / 多胎児 / 相対危険 / DOHaD仮説 / 周産期死亡率 / 乳児死亡率 |
研究実績の概要 |
公表された人口動態統計の多胎出産に関する項目を引き続き更新し、母子保健指標に対する探索的分析を行った。1995年から2014年の人口動態統計を分析し、出生(出産)体重(500g階級)と死産率、早期新生児死亡率、周産期死亡率、乳児死亡率の関係を単胎児と多胎児で比較した。単胎・多胎とも出生体重階級が増加するとともに死亡率は大幅に減少し、逆Jカーブを描いた。単胎の場合には死亡率最低の出生体重階級は3.0-3.5kgおよび3.5-4.0kgであった。多胎の場合には2.5-3.0kgであった。多胎の単胎に対する相対危険は年ごとに検討すると若干のばらつきを認めるものの、全ての年のデータを合算して算出した出産(ないし出生)体重階級別相対危険は1.0-1.5kg、1.5-2.0kg、2.0-2.5kgで1.0を切っており多胎児の方が予後良好であった。相対危険は1500g以上2000g未満で最低であり、相対危険(および1995年~2014年における最小値-最大値)は、22週以降死産率0.17(0.04-0.32)、早期新生児死亡率0.30(0.21-0.45)、周産期死亡率0.21(0.10-0.31)、乳児死亡率0.27(0.14-0.35)であった。さらに、妊娠週数(4週区切り)と出生体重のクロス集計を基にした母子保健指標の検討を行った。これらの出生体重階級が周産期のみでなく多胎児の中長期予後リスクも下げる可能性がある。ただし、周産期疫学の領域において、多胎児と単胎児(予後の悪いと思われる群と良いと思われる群)の母子保健指標を妊娠期間別ないし出生体重別に比較すると、逆説的な交差現象(crossover paradox)を生じることが古くから指摘されており、その理由は今なお明確な決着がついていない。従って、多胎児の予後については、交差現象が生じる本態も検討しつつ慎重な考察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要な分析はほぼ終了しているので、あとはより充実した成果の公表を目指し、学会の発表と論文作成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間延長が承認されたので、今年度は主に成果の公表に重点を置く。また、出生体重/LBW 妊娠期間/早産の概念を双生児(多胎児)という観点から検証し、育児支援の場に役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヘルシンキ大学の研究者との調査研究打ち合わせから得た知見と情報を反映させたより充実した内容での学会発表、論文発表といった成果報告を行いたい。また、大規模な双生児発育データを今年度入手できるので、研究結果をさらに明確にできると考え補助事業期間の延長を申請した。
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次年度使用額の使用計画 |
主に学会発表、論文掲載など成果報告に対する費用として使用する。
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