単胎児と多胎児の低出生体重児の頻度を評価する場合に、従来は児当たりでの発生頻度のみを検討してきた。しかし、この計算方法は一度に複数の児を出産する多胎出産に関しては必ずしも適切ではなく、母親当たりの低出生体重児出産頻度も検討する必要がある。双生児妊娠を例にすると、10人中2児に低出生体重を認める場合、児当たりで計算すれば双生児でも単胎児でも発生頻度は0.2である。しかし、母親当たりでは、単胎児であれば0.2で児当たりと同じであるが、双生児の場合には低出生体重児2児が、1人の母親から生まれる場合(一致)と別の母親から生まれる場合(2人の低出生体重児が別の母親に由来する(低出生-非低出生の不一致ペアの母親が2人)がある。前者では母親当たりの出産頻度は1/5=0.2であるが、後者では2/5=0.4となる。従って、母親当たりの頻度を考える場合には双生児の組一致率(両児とも低出生体重児の一致組数/少なくとも1児に低出生体重児を認める組数)が問題になる。単胎児を基準とした児当たりの相対危険(双生児/単胎児)をRR1、母親当たりの相対危険(少なくとも1児が低出生体重児である双生児出産/低出生体重児の単胎出産)をRR2、組一致率をxとし、RR2 = 2/(1+x)×RR1の関係を理論的に導き出した。組一致率が大きくなると母親当たりの疾患発生頻度は低くなり(児当たりの発生頻度に近づき)、不一致ペアが増加し組一致が小さくなると母親当たりの疾患発生頻度は大きくなる(理論的には最大児当たりの発生頻度の2倍まで近づく)。双生児の低出生体重児の発生頻度を評価する場合にはこの点に注意する必要がある。具体的な調査例を用いてこの点を検証した。3つ子以上に関して言えば、低出生体重児そのものが増加することに加え、不一致例も増加するため少なくとも1児が低出生体重児となる出産(母親)は急増すると考えられた。
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