研究課題/領域番号 |
26670340
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
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研究分担者 |
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30265780)
川崎 良 山形大学, 大学院医学研究科, 助教 (70301067)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタボロミクス / 眼科疾患 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究の分担研究者である武林亨を中心としたグループは、メタボローム技術と疫学の融合を画策し、山形県鶴岡市にメタボロームコホート研究を立ち上げた。本研究は、このコホート参加者の眼底写真を読影、データ整備ののち、メタボローム分析結果と統合解析することにより、代謝からみた加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症等眼科疾患の病態解明や、これら疾患を予測するバイオマーカーの検索を行うことを企図した研究である。渉猟しうる限り、メタボローム解析技術を大規模疫学データに応用して、眼科疾患の病態解明を実施した研究はなく、世界初の知見をもたらすものと期待される。 平成26年度は、メタボローム解析の対象となる眼科疾患及び網膜血管関連指標の選定、眼底デジタル画像の抽出、ファイル形式の変換作業、写真判定作業を実施。判定作業終了見込みは平成27年度第1四半期を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デジタル画像の変換作業に余計な時間がかかったものの、おおむね計画通りに進捗している。 平成26年度の研究として、まず、メタボローム解析の対象となる眼科疾患及び網膜血管関連指標の選定を行った。画像解析としては、健診用に撮影された眼底写真アーカイブの中から研究対象者の眼底写真を抽出した。まず、眼底写真アーカイブの保存形式であるDICOM形式から、眼底デジタル画像のみを抽出した。DICOM形式には画像に加えて撮影状況などの情報が付記されているため、デジタル画像のみを網膜血管形態測定ソフトウェアに対応するファイル形式に変換する作業を行った。この結果、4020枚の眼底写真が抽出、変換された。現在、網膜血管径測定ソフトウェアを用い眼底写真判定を実施中である。判定作業終了見込みは平成27年度第1四半期を予定している。平行して、臨床医による網膜病変の判定を平成27年度第1-第2四半期に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年の平第1-第2四半期を目途に、眼底写真の読影を終了する予定である。その後、データのクリーニング作業を行い、眼底データベースを整備する。 一方、メタボローム解析は、血漿分離して-80℃で凍結保存しているサンプルを用い、山形県鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所において網羅的に行い、代謝物としての同定を行って、対象者のメタボローム・プロファイルを作成する。このプロセスは、分担研究者(武林亨)が獲得している科研費基盤(B)により実施する計画となっている。 本研究では、このメタボロームデータと眼底データ、その他個人の背景情報を統合したデータセットを解析用に構築する。 解析では、主成分分析法(principal component analysis; PCA 法)、OPLS-DA 法(orthogonal partial leastsquare)等を用い、眼底所見の違いに基づく各群のプロファイルを判別することが可能なメタボロームを明らかにする。さらに、眼底所見ごとに、血漿中アミノ酸濃度、脂肪酸濃度といったメタボローム濃度を比較する。その際には、交絡しうる要因を考慮する。解析結果をとりまとめ、学会、論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度、眼底写真の読影を継続して実施するため、人件費分を持ち越した。また、読影方針や解析方針を決定するための会合を学会時など他の用事に合わせて実施できたので、この分を予定より少なくできた。
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次年度使用額の使用計画 |
持ち越した助成金は、平成27年度の助成金と合わせ、読影、判定に係る人件費、データ解析用のソフト購入費、結果発表時の旅費等に充当する予定である。
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