本研究の分担研究者である武林亨を中心としたグループは、メタボローム技術と疫学の融合を画策し、山形県鶴岡市にメタボロームコホート研究を立ち上げた。本研究は、このコホートの2012年度参加者の眼底写真を読影、データ整備ののち、メタボローム分析結果と統合解析することを企図した研究である。眼底所見としては、まず加齢黄斑変性病変の読影を実施しデータを整えた。一方、メタボローム解析は、血漿分離して-80℃で凍結保存しているサンプルを用い、山形県鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所において網羅的に行い、代謝物としての同定を行って、対象者のメタボローム・プロファイルを作成した。 男性1102名、女性1363名について、信頼性の高いメタボロームプロファイリング結果との突合が可能であった。そのうち、特に定量性が充分に担保されている82物質を使用して、加齢黄斑変性症(AREDS2以上)に特有のメタボローム・バイオマーカーを、PLS判別分析を用いて探索した。 その結果、加齢黄斑変性症男性ではbeta-alanineが、女性ではmalateが、加齢黄斑変性メタボロームバイオマーカー候補として挙げられたが、男女共通のバイオマーカー候補は認められなかった。
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