研究実績の概要 |
本研究では法医実務で希ならず経験する体動後の制圧・拘束中の急死例に対応するストレス負荷モデルを実験動物(ラット)を用いて構築することにある。同時に死後変化の影響を受けやすい法医症例に利用可能なmicroRNAをストレス指標に選択し、運動後の拘束ストレスがmicroRNA発現に与える影響を網羅的解析により検討することにある。 今回、ストレス負荷群ラットすべてに最初に21%エタノールを3.8g/kg相当経口投与した。負荷の種類は以下の4群にわけ、かつストレス負荷をしないコントロール群(C)を加えて全5群とした。①20分間の運動のみの群(R20)、②90分間の運動のみの群(R90)、③20分の運動ののち2kgの水袋で20分間圧迫群(P20)、④90分の運動ののち2kgの水袋で90分間圧迫群(P90)。microRNA発現量の測定はマイクロアレイを用い血清で行った。その後、群間で発現量の多いmicroRNA、ならびに心臓や筋組織に関連するmicroRNAを8種(miR-1, -24, 133a/b, -199a, -208a, -212, -296-5p)を選び、qRT-PCRを行った。 その結果、マイクロアレイとqRT-PCRによりR20群・P20群にて血清miR-199aが上昇し、R90・P90群にて血清miR-1, -24, 133a/bがそれぞれ上昇した。但し運動ストレスと運動後の拘束ストレス間の違いは明らかにならなかった。 このことから、運動後の拘束ストレスにより発現が変化するmicroRNAがあることが示された。加えてストレス強度の違いによって発現するmicroRNAが異なることが示唆された。。
|