研究課題/領域番号 |
26670356
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
太田 茂 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (60160503)
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研究分担者 |
奥田 勝博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00389115)
佐能 正剛 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(薬), 助教 (00552267)
清水 惠子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90312462)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / デザイナードラッグ / 体内動態 / ヒト肝細胞移植キメラマウス / ドパミン |
研究実績の概要 |
規制薬物である麻薬や覚せい剤の化学構造の一部を他の官能基に置き換えたデザイナードラッグの健康被害が報告されている。危険ドラッグとして、これらの化合物を規制すると、別の官能基を持つ類縁化合物が登場するという悪循環も生じる。新しく創出されるデザイナードラッグの化学構造を予測できれば、ターゲットを絞った分析方法が可能となるが、その予測は難しいのが現状である。また、デザイナードラッグのヒト体内動態に関する臨床データは少ないことから、ヒト体内動態予測研究の実績がある「ヒト肝細胞移植キメラマウス」を使用する。また、ヒト肝細胞移植キメラマウスの尿中において、基本母核ごとの尿中メタボローム解析を行い、カテゴリーごとの尿中バイオマーカーを決定できれば、実際の現場においても乱用使用の判断指標として利用できる可能性を有する。 また、体内動態の予測に留まらず、投与時のマウスの行動変化や化合物の脳内移行性なども評価することで、乱用使用の同定だけでなく、薬効や毒性も外挿できる可能性も見出す。本研究では、デザイナードラッグの化学構造を広くとらえ、分類された基本母核(カチノン系、フェネチルアミン系)に着目した。今年度は、数種類の各基本骨格の誘導体を合成した。また、薬物代謝酵素で生成されると推定される代謝物の合成も行った。マウスに投与後の脳内ドパミン量の変化なども評価し、今後のヒトにおける体内動態、毒性予測の見積もりのための評価系確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デザイナードラッグの基本母核(カチノン系、フェネチルアミン系)の誘導体および推定される酸化代謝物、還元代謝物を合成した。マウスに投与後の脳内ドパミン量の変化なども評価し、ドパミントランスポーターに対する活性評価の構築も行い、合成、代謝、毒性についてバランスよく研究を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
合成した誘導体をヒト肝細胞移植キメラマウスに投与し、尿中代謝物やバイオマーカーの探索を行っていく。また、マウスにおける脳内移行性、内在性ドパミン量変化、行動薬理評価のデータも組み合わせることで、危険ドラッグのの使用における事件・死亡事故に対して、薬物の関与を簡便かつ迅速に明らかにすることができる系を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価化合物は一般に入手できないため、合成方法の検討などに注力し、さらには生体で生成が想定される代謝物の合成も優先的に行った。このことから当初予定していた生物活性評価や体内動態評価は次年度以降に中心に行っていく形で変更したため、次年度使用額の変更が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた生物活性評価や動態評価を次年度に注力して行っていく予定であり、そのために必要な経費に充当する。
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