研究課題/領域番号 |
26670364
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
村松 芳幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80272839)
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研究分担者 |
村松 公美子 新潟青陵大学, 臨床心理学研究科, 教授 (60339950)
齋藤 恵美 新潟青陵大学, 福祉心理学科, 助教 (50460324)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 睡眠 / 性周期 / 生理学的指標 / 心理学的指標 |
研究実績の概要 |
1)性周期と睡眠、バーンアウトとの関連性の検討を目的として、勤労者を対象に質問票による調査を昨年度行ったが、バーンアウト得点、PSQI得点で男女差は認められなかった。そのため、特に女性労働者のバーンアウトや睡眠障害について再検討した。対象者242人中女性は64名であった。女性のバーンアウトの平均値は3.01±1.07点、PSQI総合得点の平均値は5.35±2.20点であった。入眠障害を38人(61.3%)中途覚醒、早朝覚醒を32人(56.1%)にみとめた。年代別に男女の比較を行うと20~40代、60代でバーンアウトや睡眠項目での有意な差は認めなかったが、50代女性の睡眠時間は50代男性に比較して有意に短いという結果をみとめた。更年期に女性ホルモンが減少し睡眠の質が低下した可能性や、バーンアウトスコアの平均値が50代女性で最も高かったことから抑うつが睡眠障害に関連している可能性も考えられた。 2)性周期による眠気の違いを検討するために、睡眠評価として脳波と日本語版エプワース眠気尺度(JESS)を用いた。脳波の計測はポリメイト(AP 1532)を用いて日中に脳波を30分程度測定し、記録開始時から入眠するまでの時間を記録した。これを黄体期と卵胞期で各1回実施した。JESSは脳波測定日に調査した。ポリメイトによる入眠潜時は、卵胞期で6.12±1.33分、黄体期で8.13±1.74分であり、有意差はみられなかった。JESSでは、卵胞期4.2±0.97、黄体期13.0±1.9で有意に黄体期で増加していた。脳波上では日中の眠気には有意差が認められなかったが、自覚症状では明らかに黄体期に眠気が増強していた。 日中の眠気は、看護師業務においてヒヤリ・ハットのリスクを高める重大な要因である。月経周期に伴う日中の眠気の実態を明らかにすることにより、予防策や勤務体制の見直しにつながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度、バーンアウト得点、PSQI得点で男女差は認められなかた。性周期による睡眠の変化がヒヤリハットにつながるという仮説が否定されたため、同じデータで再検討しなければならなかった。今年度も同じ対象者で睡眠の経年変化を調査したが、現時点でデータ解析は進んでいない。 生理学的指標としての脳波であるが、アクチグラフは有用ではあるものの、脳波解析ほどの睡眠の質の評価にはつながらなかった。終夜睡眠脳波による睡眠の質と性周期の関連性を調査するための予備的な調査として、手元にあったポリメイトを用いたが有意な関係が認められず、睡眠脳波を測定するための機材の検討が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
看護職を対象とした性周期による睡眠を評価できる調査票を作成するために、Menstrual Distress Questionnaire(MDQ)、ヒヤリハット状況、PHQ-9、GAD-7、JESSなどの調査票を活用することが効果的であると思われる。現在、インターネットを用いて調査することを検討している。予算の関係上、インターネットが使用できない場合には、対象数を再検討する予定である。 脳波による睡眠評価は、看護職者は日中の脳波測定が困難であることから、健常者で性周期のある学生を対象として行う。脳波測定は、電極の装着が3カ所であり、対象差の負担が少ないことから脳波センサZA-9を用いておくなうことに決定した。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳波測定用の機器の決定が困難なため、手元にあった機器で調査をした。そのため、人件費および謝金が生じなかった。 調査票の印刷、配布などは研究者が行い、なるべく予算を使わないようにした。来年度のインターネットを用いた調査に回す予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
インターネットによる調査をおこなうための予算に用いる予定である。また、脳波測定の機器が決定したため、学生を中心として調査を行うことにした。そのための、謝金として使用する予定である。
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