研究課題/領域番号 |
26670366
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
須藤 信行 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60304812)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カテコラミン / 腸内細菌 / ストレス |
研究実績の概要 |
近年、宿主と細菌の相互作用、いわゆる“インターキングダム・シグナリング(Inter-kingdom signaling)”への関心が高まっている。なかでも宿主由来のストレス関連ホルモンであるカテコラミンが細菌側の特異的レセプターに作用し、細菌の増殖能や病原性を高める可能性があるという知見は、注目の的である。我々のグループは、腸管管腔内にドーパミン、ノルエピネフリンが存在することを世界で初めて証明し(Asano Y et al. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 303(11):G1288-95, 2012)、腸管を舞台としたインターキングダムシグナリングが現実に起こりうる可能性を示した。本研究では、腸管におけるカテコラミンを介した宿主と腸内細菌との相互作用に焦点を当て、ストレスによる易感染性の病態機序を解明し、その動物モデルを確立することを目的としている。平成26年度においては、腸管管腔内を還流する腸管ループモデルを用いて、脳室内corticotrophin releasing hormone 投与後の腸管管腔内ノルエピネフリン濃度を計時的に測定した。また腸管神経叢から管腔内への遊離の可能性を検証するために、カテコラミンの小胞体への取り込みを阻害するreserpinとカテコラミン性神経を破壊する6-hydroxydopamineを前処置することによって腸管管腔内カテコラミンが低下するか否かについて検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においては、腸管管腔内CA遊離の調節機構の解明とストレス惹起性内因性感染モデルの確立を目的に種々の実験を行い、興味深い結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、以下の課題3,4について解析を加えていく。 課題3.ストレス惹起性内因性感染モデルの作製:カテコラミン高感受性大腸菌株およびBW25113株のみで構成された単一細菌マウスを作成し、拘束ストレス負荷に対する腸管炎症およびバクテリアル・トランスロケーションの程度を評価する。対照群には、その変異株であるJW2994のみで構成された単一細菌マウスを用いる。 課題4. 全身への影響は?:上記モデルマウスを用いて、ストレス負荷後の行動(自発運動や摂食行動の評価-いわゆるsickness behaviorの有無、程度)を観察する。またストレス負荷、直後、12時間後、24時間後に末梢血を採取し、CRPなどの急性炎症反応を調べる。
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