2年間の研究期間に佐賀大学医学部附属病院時間外救急外来において、救急搬送されていない紹介でない、小児を除く初診患者2099名を登録した。解析にあたり、様々な主訴を26種にグループ化した。また、1症例毎にNE(特に検査を行わず帰宅)、LE(Xpと採血を施行して帰宅)、HE(CTやMRIや専門科へコンサルテーションをして帰宅)、A(緊急入院)の4つに分類した。 (1)NEが全体の50%以上かつLEを加えると70%以上になる条件の主訴は、排尿、聴覚、動悸、しびれ(異常知覚)、呼吸器症状(呼吸苦を除く)、消化器症状(吐下血と腹痛を除く)、発熱であった。(2)NE+LEが70%以上の主訴は、めまいとふらつき、四肢の症候、腰背部の症候、呼吸苦、交通外傷、腹痛、胸痛、倦怠感であった。(3)HE+Aが50%以上となる主訴は、運動麻痺と構音障害、吐血と下血、その他の外傷(交通外傷と皮膚外傷を除く)、意識消失発作であった。 (1)は何ら検査のできない当直医一人の中小病院の時間外でも、結果的に50%以上を帰宅と判断でき、Xpと採血ができれば70%を帰宅と判断できることから、それらで受け入れやすい主訴と言える。(2)はXpと採血ができる状況なら同じく70%を帰宅と判断できる。(3)は半数以上がCT撮影やコンサルテーションなしに帰宅と判断できない、または緊急入院となるので、中小病院時間外での受け入れは困難と思われる。 この研究の限界として、時間外でも検査が可能で専門科にコンサルトできる大学病院での調査であり、今回の結果は必要最低限でなく、過剰に検査やコンサルトを行なっている可能性がある。また、他院で受診を断られた症例が相対的に多く時間外特別加算料金も設定されているので、市中病院とは患者層が異なる可能性がある。小児と救急症例を除外しているので、相対的に重症度の低い母集団であり、あらゆる救急外来対応には応用できない。
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