研究課題/領域番号 |
26670372
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
深澤 元晶 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (70387728)
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研究分担者 |
永津 郁子 藤田保健衛生大学, その他部局等, 名誉教授 (80084573)
中原 大一郎 浜松医科大学, 医学部, 研究員 (80128389)
臼田 信光 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30135123)
森山 陽介 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (00452532)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東洋医学 / 灸 / パーキンソン病 / ストレス / c-Fos |
研究実績の概要 |
灸は鍼とともに広く行われている代替補完医療の一つであるが、その効果の発現に至る生物学的知見は鍼とは異なり乏しい。我々は動物に施灸を行い、前頭前野をはじめとする脳内の複数の部位でドパミン等の様々な神経伝達物質が分泌され、神経細胞が活性化することを見出した。本研究は施灸に対する脳での生体反応を定量化し、施灸の「効果」を脳の反応から再定義するとともに、脳機能改善の手段として灸を適用する科学的基盤を確立する。 H27年度は、施灸刺激の治療効果の検討を行った。第1にはパーキンソン病への効果の検討である。成体ラット右脳のMFB(内側前脳束)に6-OHDAを注入し、パーキンソン病モデル動物を作製した。対照実験として、ドパミン放出作用薬であるニコチンを連続投与(7日間)した個体においてアポモルフィンテストを行うと、生食連続投与個体に対して健側への回転が少なかった。同様に連続施灸(7日間)を行った個体と連続シャム刺激を行った個体に対してアポモルフィンテストを行ったが、両者に差は見られなかった。また、これらの個体の両側の背側線条体に透析プローブを刺入しマイクロダイアリシスによるドパミン分泌の測定を行ったところ、患側では健側に対してドパミン分泌量は約1/10以下であったが、患側において比較的ドパミン分泌量が多い個体においてはニコチン投与および施灸刺激によりドパミン分泌の一過性の増加が見られた。 第2にはストレス反応への効果である。βエンドルフィンの拮抗阻害薬であるナロキソンを投与した成体ラット個体に施灸刺激を行い、脳を摘出してc-Fosの免疫組織化学を行った。c-Fosの反応産物は、弓状核や扁桃体などストレス反応に関係する部位においてナロキソン濃度依存的に増加した。 以上を踏まえ、施灸刺激にはパーキンソン病治療効果はないが、ストレス緩和作用があると考えられた。
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