研究課題
①EGF各メンバーのタンパク質発現と特異的抗体作成:分子内に3つのSS結合を有する複雑な構造を持つため、タンパク質発現も工夫が必要であったが、EGFファミリーに対する特異的な単クローン抗体を作成した。その中で特に抗体価の高いエピレギュリンに対する抗体を主に解析した。大阪大学と共同研究によりエピレギュリンー抗エピレギュリン抗体複合体の結晶構造を明らかにした(Kado)②培養細胞株を用いた解析:大腸がん細胞株を用いて、抗体の結合親和性などの検定を行った。解析は、蛍光免疫染色、セルソーター(FACS)、表面プラズモン共鳴測定(SPR)等により、エピレギュリン高発現がん細胞膜に高濃度に集積されるだけでなく、エンドサイトーシスにより取り込まれ、細胞内に集積することが判明した。エピレギュリン抗体による、エピレギュリン高発現大腸細胞株の増殖抑制は大きくなかった。③マウス個体を用いた解析:坦がんマウスを用いたエピレギュリンによるin vivoイメージングを行った。エピレギュリン分子の高発現大腸がん細胞株をヌードマウスに移植し、作成した抗体を蛍光標識して体外イメージングにより、がんの検出、抗体集積の時間経過などを解析した。我々の系は、腫瘍を高感度に検出でき、内在性大腸がん検出への応用可能性も高かった。また、再生モデル解析も行い、マウスにSDSを用いた腸炎モデルを作成して腸上皮を障害し、再生時のエピレギュリン分子の発現を、腸組織切片の蛍光検出により顕微鏡解析し、幹細胞とは異なる細胞にエピレギュリン発現が誘導されることが観察された。これはEGFファミリーを介して幹細胞の増殖を促進するモデルに合致する結果である。
2: おおむね順調に進展している
①EGF各メンバーのタンパク質発現と特異的抗体作成:その中で特に抗体価の高いエピレギュリンに対する抗体を主に解析した。大阪大学と共同研究によりエピレギュリンー抗エピレギュリン抗体複合体の結晶構造を明らかにした(Kado)②培養細胞株を用いた解析:大腸がん細胞株を用いて、蛍光免疫染色、セルソーター(FACS)、表面プラズモン共鳴測定(SPR)等により、高発現がん細胞膜に高濃度に集積されるだけでなく、エンドサイトーシスにより取り込まれ、細胞内に集積することが判明した。③坦がんマウスを用いたエピレギュリン抗体によるin vivoイメージングでは、エピレギュリン高発現大腸がん細胞株をヌードマウスに移植し、作成した抗体を蛍光標識して体外イメージングにより、がんの検出、抗体集積の時間経過などを解析した。我々の系は、腫瘍を高感度に検出でき、内在性大腸がん検出への応用可能性も高かった。また、再生モデル解析では、マウスにSDSを用いた腸炎モデルを作成して腸上皮を障害し、再生時のエピレギュリン分子の発現を、腸組織切片の蛍光検出により顕微鏡解析し、幹細胞とは異なる細胞にエピレギュリン発現が誘導されることが観察された。これはEGFファミリーを介して幹細胞の増殖を促進するモデルに合致する結果である。
①EGF各メンバーのタンパク質発現と特異的抗体作成他のEGFファミリーに対する特異的な単クローン抗体を作成する。②培養細胞株を用いた解析:大腸がん細胞株を用いた解析では、細胞膜に存在する前駆体EGFファミリーと、細胞外に存在する最終切断産物への結合の差を見分ける方法などを検討する。腸上皮幹細胞へのEGFファミリーの作用解析を通して、がん化機構を明らかにする。また、無血清培地によるcrypt培養が開発された。類似の培養法を用い、まだ確立されていない腸上皮幹細胞の培養系を用いて、EGFを他のEGFファミリーで置換可能かなどを調べる。③マウス個体を用いた解析坦がんマウスを用いたEGFファミリーによるin vivoイメージング:切断された血中最終産物との結合の差と、そのバックグラウンド信号への影響などの検討が必要である。これらの点を解決し、この方法を確立することが本計画の大きな目標である。腸炎による再生モデル解析:腸炎モデルを作成して腸上皮を障害し、再生時のEGFファミリー分子の発現を、腸組織切片の蛍光検出により顕微鏡解析する。エピレギュリン発現の上昇する細胞を同定する。
本研究に用いる抗体については、共同研究により結晶構造解析を行っていた。共同研究者との相談で、構造の論文を発表してから、本研究の発表をするという合意になっていたが、結晶構造解析に時間がかかり、また結晶構造論文審査の過程でも、追加実験を要求され、予想外に時間がかかってしまい、本研究を延期せざるを得ない事情があった。また、その間に本研究と同一ではないが、類似の結果を示す論文も発表されたため、我々のデータをさらに確実なものにするため追加で研究を行う必要が生じたことなどにより期間延長を申請した。
エピレギュリン以外のEGFファミリーに対する特異的な単クローン抗体を作成し、大腸がん細胞株を用いて、細胞膜に存在する前駆体EGFファミリーと、細胞外に存在する最終切断産物への結合の差を見分ける方法などを検討する。腸上皮幹細胞へのEGFファミリーの作用解析を通して、がん化機構にせまる。また、無血清培地によるcrypt培養が開発された。類似の培養法を用いて、EGFを他のEGFファミリーで置換可能かなどを調べる。マウス個体を用いた解析では、坦がんマウスを用いたEGFファミリーによるin vivoイメージングの検討を行う。切断された血中最終産物との結合の差と、そのバックグラウンド信号への影響などの検討が必要である。これらの点を解決し、この方法を確立する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
J Biol Chem.
巻: 291 ページ: 2319-2330
10.1074/jbc.M115.656009.