研究実績の概要 |
1)がんに特異的に発現することで知られるエピレギュリンは、腸幹細胞などにも存在するEGF受容体(EGFR)に作用して、細胞増殖シグナルを伝える。この解析のために、エピレギュリン(EPR)に対する抗体(9E5)を作成した。エピレギュリンの高発現大腸がん細胞株(DLD1)に、この抗体を作用させると、EGFRのリン酸化、下流のErk、Aktリン酸化などのシグナル経路が抑制され、9E5がブロッキング抗体として作用することが判明した。M. Iijima et al BBRC (2017)in press
2)さらに、エピレギュリンの高発現大腸がん細胞株を用いて解析をすすめると、エピレギュリンの抗体(9E5)が、効率的に、エンドサイトーシスにより,細胞内に取り込まれることが発見された。その経路は初期エンドソーム、後期エンドソーム、ライソゾームと続く膜タンパクが運ばれる経路に一致していた。
3)この性質を利用してマウスにおける腫瘍イメージングを行った。高発現細胞DLD1などの担がんマウスを作成し、9E5抗体を、近赤外波長のインドシアニングリーンで標識し、尾静脈から投与し、時間経過を追った。同一マウス内でも、エピレギュリンを発現していない腫瘍には集積せず、エピレギュリン腫瘍特異的に集積することが確認され、特異的イメージングに使用できることが明らかになった。これを治療にも応用できるように検討中である。(投稿準備中)
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