研究課題
我々は、特定のガスだけでなく、各種のガスや様々な混合ガスを自由に大気圧プラズマ化できるマルチガスプラズマを開発してきた。さらに、プラズマの医療分野への応用に必須である、温度を自由かつ精密に制御できるプラズマ装置の開発に世界で初めて成功した。本研究では、これまで考慮されてきたプラズマの殺菌効果を基に、大気圧低温プラズマの内視鏡下の医療応用を目的として、大気圧低温プラズマの殺菌効果の温度・ガス条件設定、大気圧低温プラズマの内視鏡利用に対するデバイス開発、生体ブタ胆管・膵管閉塞疾患モデルを用いた大気圧プラズマの胆管、膵管及び肝、膵組織への影響を検討することとした。今年度は、大気圧低温プラズマの内視鏡利用に対するデバイス開発を行った。そこで、超小型大気圧低温プラズマプローブを3Dプリンターにより作製した。3DプリンターはCADの設計により、継ぎ目のない鎖や複雑な水路、切削加工では不可能な微小な構造などが金属や樹脂で精密に造形できた。3Dプリンターは小型の放電電極の中に微細な水冷チャンネルを配置するなどの自由な加工が出来るため、放電部の小型化とプラズマの高強度化を両立できた。今回、従来の機械加工では作製が困難な直径3.7mm、重さ3.5gのチタン製の超小型大気圧低温プラズマプローブを造形し、高強度なプラズマを安定的に生成することを確認した。我々はこれまで、外科的に胆管、膵管の十二指腸開口部からドレナージチューブを挿入し、胆管・膵管閉塞疾患モデルを作製してきた。今回、開発した超小型大気圧低温プラズマプローブの照射による、肝組織への影響を病理学的に検討した。低温窒素プラズマ(約400C)を120秒照射しても胆管及び肝組織に傷害は認めなかった。
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