自己組織化を利用したオンチップ血管モデルの開発―血管生理・病態の再現と理解

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26670394
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 西山 功一 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (80398221)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 血管新生 / 自己組織化 / 微小流体デバイス / 再構成 / 分化

研究実績の概要

本研究課題では、微小流体デバイス上で長期灌流可能な血管網を構築する基盤技術を開発し、血流依存的な血管新生メカニズムと動脈分化などの血管成熟化メカニズムの解明に繋げることを目標とした。
平成27年度には、前年度に構築可能とした微小流体デバイス上の血管網内腔に培地を灌流する技術開発を行った。微量流量で送液制御可能なシリンジポンプを用いることで、構築した血管網にヒト毛細血管血流に相当する0.5-1mm/sの流速で、約1週間にわたり培地を灌流することが可能となった。新生血管内腔（血管先端は盲端）という限られた空間を灌流する場合、せん断応力に加えて、血管内腔圧が上昇し垂直抗力や伸展張力などの物理的力が加わる。したがって、灌流による物理的刺激が与える影響を明確化するために、さらに、血管内腔に静水圧を加え垂直抗力（＋伸展張力）のみを変化させ得る解析系を構築した。これまでに、垂直抗力を増加させることで血管新生プロセスにより形成される血管形態の異常が観られる興味深い知見が得られている。
以上の様に、微小流体デバイスに血管新生プロセスを通して血管網を構築し、血流刺激を与えうる解析系が確立できた。現在、血管新生における血流の影響や血流刺激を用いた血管分化誘導などの解析を進めている。

研究成果

• [雑誌論文] Autonomy and non-autonomy of angiogenic cell movements revealed by experiment-driven mathematical modeling (2015)
  • 著者名/発表者名: Sugihara K*, Nishiyama K*, Fukuhara S, Uemura A, Arima S, Kobayashi R, Kohn-Luque A, Mochizuki N, Suda T, Ogawa H and Kurihara H. *These authors contributed equally to this work.
  • 雑誌名: Cell Rep 巻: 13(9) ページ: 1814-1827
  • DOI: 10.1016/j.celrep.2015.10.051.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] The accuracy of central blood pressure waveform by novel mathematical transformation of non-invasive measurement. (2015)
  • 著者名/発表者名: Sueta D, Yamamoto E, Tanaka T, Hirata Y, Sakamoto K, Tsujita K, Kojima S, Nishiyama K, Kaikita K, Hokimoto S, Jinnouchi H and Ogawa H.
  • 雑誌名: Int J Cardiol 巻: 189 ページ: 244-246
  • DOI: 10.1016/j.ijcard.2015.03.182.
  • 査読あり
• [学会発表] 自律的に樹状構造をつくる血管細胞動態と制御機構 (2016)
  • 著者名/発表者名: 西山功一
  • 学会等名: 第１２１回日本解剖学会総会・全国学術集会 シンポジウム「形作りのダイナミクスとその制御機構の探索～新たな発生原理の解明を目指して」
  • 発表場所: ビッグパレットふくしま（福島）
  • 年月日: 2016-03-28
  • 招待講演
• [学会発表] Quantification of effects of mechanical stimuli and mural cells on angiogenic morphogenesis (2016)
  • 著者名/発表者名: Kunita I, Nishiyama K
  • 学会等名: National Institute of Genetics International Symposiumm 2016
  • 発表場所: 東大産総研（東京）
  • 年月日: 2016-01-10
  • 国際学会
• [学会発表] 血管新生における血管壁細胞の役割 (2015)
  • 著者名/発表者名: 西山功一
  • 学会等名: CVMW2015 心血管代謝週間 シンポジウム「血管・リンパ管のpericascular cell の多面的機能を理解する」
  • 発表場所: 神戸国際会議場（神戸）
  • 年月日: 2015-12-12
  • 招待講演
• [学会発表] 血管新生に対する力学刺激の効果を検証するための灌流アッセイ系の構築 (2015)
  • 著者名/発表者名: 國田 樹、 梨本裕司、中益朗子、中山雅宗、鳥澤 勇介、横川 隆司、三浦 岳、西山 功一
  • 学会等名: CVMW2015 心血管代謝週間
  • 発表場所: 神戸国際会議場（神戸）
  • 年月日: 2015-12-10
• [学会発表] 血管内皮細胞の血管新生運動を制御する細胞自律的・非自律的メカニズム (2015)
  • 著者名/発表者名: 西山功一、國田 樹
  • 学会等名: CVMW2015 心血管代謝週間
  • 発表場所: 神戸国際会議場（神戸）
  • 年月日: 2015-12-10
• [学会発表] 血管新生プレイヤーとしてのペリサイト (2015)
  • 著者名/発表者名: 西山功一
  • 学会等名: 第38回年会（BMB2015）ワークショップ「周皮細胞（ペリサイト）の病態生理学的重要性」
  • 発表場所: 神戸商工会議所（神戸）
  • 年月日: 2015-12-02
  • 招待講演
• [学会発表] Coordinated angiogenic behavior of tip endothelial cell revealed by a combined approach with experiment and mathematical modeling (2015)
  • 著者名/発表者名: Nishiyama K, Sugihara K, Fukuhara S, Kunita I, Uemura A, Arima S, Kobayashi R, Kohn-Luque A and Kurihara H.
  • 学会等名: 第13回日韓血管生物合同シンポジウム
  • 発表場所: サムジュアートホール（釜山、韓国）
  • 年月日: 2015-10-15
  • 国際学会
• [学会発表] Coordinated angiogenic behavior of tip cell revealed by experiment-driven mathematical modeling (2015)
  • 著者名/発表者名: Nishiyama K, Sugihara K, Fukuhara S, Uemura A, Arima S, Kobayashi R, Kohn-Luque A, Mochizuki N, Suda T, Ogawa H and Kurihara H.
  • 学会等名: Gordon conference 'angiogenesis'
  • 発表場所: サルベ・レジナ大学（ロードアイランド、米国）
  • 年月日: 2015-08-05
  • 国際学会
• [学会発表] Genetic and epigenetic regulation in angiogenic cell dynamics (2015)
  • 著者名/発表者名: 西山功一、小川久雄
  • 学会等名: 第79回日本循環器学会学術集会・会長特別企画「エピゲノムと循環器疾患」
  • 発表場所: リーガロイヤルホテル（大阪）
  • 年月日: 2015-04-26
  • 招待講演
• [学会発表] Molecular and cellular mechanisms in angiogenic morphogenesis (2015)
  • 著者名/発表者名: 西山功一、小川久雄
  • 学会等名: 第79回日本循環器学会学術集会・ラウンドテーブルディスカッション「分子画像による病態解明」
  • 発表場所: リーガロイヤルホテル（大阪）
  • 年月日: 2015-04-24
  • 招待講演
• [備考] 熊本大学国際先端医学研究機構(IRCMS)・西山研究室ホームページ
  • URL: http://kumamoto-ircms-nishiyama.jp/about-research/