研究課題/領域番号 |
26670399
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
磯部 光章 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80176263)
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研究分担者 |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40401393)
江花 有亮 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60517043)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高安動脈炎 / 遺伝子多型 / 転写因子 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
全ゲノム関連解析(GWAS)で高安動脈炎との関連が判明したMLX遺伝子の一塩基多型(SNP)は、その転写産物である転写因子MLXにおいて、139番目のグルタミンがアルギニンに置換される変異(Q139R)を引き起こす。この変異型MLXが高安動脈炎の誘因となり得るかどうか、野生型MLX(MLX-WT)もしくは変異型MLX(MLX-Q139R)のプラスミドをヒト大動脈由来血管平滑筋細胞(hASMCs)に導入し検討した。その結果、MLX-Q139RタンパクはMLX-WTタンパクと比較して転写因子MondoAとヘテロ二量体を形成しやすいことがプルダウンアッセイの結果にて明らかとなった。ルシフェラーゼアッセイの結果、MLX-Q139RとMondoAの複合体ではMLX-WTとMondoAの複合体よりもhASMCsにおけるthioredoxin-interacting protein(TXNIP)のプロモーター活性は上昇していた。MLX–MondoA複合体の代表的な転写産物であるTXNIPはインフラマソーム形成を促進する作用があることが知られている。MLX-Q139Rを導入したhASMCsでは、MLX-WTを導入したhASMCsよりもTXNIPのタンパク量およびインフラマソームの主要構成成分であるNLRP3のタンパク量が有意に増加していた。MLXにおけるQ139R変異はそのDNA結合部位において荷電変化を生じるが、今回の検討によってMLXの転写因子活性に影響を与える機能獲得性変異であることが示唆された。hASMCsにおいては、MLXの転写産物TXNIPと相互作用するNLRP3の発現がQ139R変異導入により増加した。よって、MLX遺伝子のSNPによる変異はTXNIP発現上昇を介してインフラマソーム形成を促進しているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、本研究費応募時の申請書に記載した研究計画通り順調に計画が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究費応募時の申請書の研究計画に記載したとおり、今後はMLX遺伝子のSNPがいかにして高安動脈炎の発症および病状進展に関与しているのかについて解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画は平成26年度から平成28年度にかけての3ヶ年計画であり、本計画の最終年にあたる平成28年度にはよりコストのかかる研究が控えているため。
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次年度使用額の使用計画 |
応募時に記載した研究計画・方法に準じて、高安動脈炎におけるMLX遺伝子のSNPが、高安動脈炎の発症や病状進展にどのように関わっているのかについて検討する実験に必要な研究資源を入手する目的で使用する。
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