研究課題
本研究では血管内皮特異的および血管平滑筋特異的CNP-GC-Bシステムノックアウトマウスを作成し、本システムの血管機能制御及び血管病態における生理的、病態的意義とそこに関わる分子機序を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の研究を行った。1、血管内皮特異的CNPノックアウトマウスの作製とその血圧制御における役割の解析。CNP floxマウスとTie2-creマウスを交配し、血管内皮特異的CNPノックアウトマウス(CNP ecKO)の作製に成功した。CNPecKOの血圧を埋め込み型無線血圧測定器により、非麻酔下、自由行動下で連続測定したところ、有意に対照群より血圧が上昇していた。また、CNP ecKOではL-NAMEによる昇圧反応も亢進していた。抵抗血管である摘出腸間膜動脈における内皮依存性血管弛緩反応を測定したところ、CNP ecKO由来の腸間膜動脈では、内皮依存性血管弛緩反応が有意に減弱していた。これらの結果は血管内皮由来CNPが血管トーヌスの制御に重要な役割を果たしていることを示しており、今後、種々の血管作動性物質の阻害薬の効果などを検討し、詳細なメカニズムを明らかにしていく予定である。2、血管平滑筋特異的GC-Bノックアウトマウスの作製とその血圧制御における役割の解析。一方で、血管平滑筋細胞特異的にCNPの受容体であるGC-Bをノックアウトした血管平滑筋特異的GC-Bノックアウトマウス(GC-B smcKO)をGC-B floxマウスとsm22-creマウスとの交配にて作製し、血圧を連続測定したが、予想に反してGC-B smcKOは血圧が正常である結果を得た。このことは血管内皮由来CNPが血管平滑筋のGC-Bを介さずに血圧制御に働く可能性を示しており、今後、CNP ecKO同様の解析をさらに行いその詳細を明らかにしていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り組織特異的CNPおよびGC-Bノックアウトマウスの作成に成功し、またその解析は進行している。血管平滑筋特異的GCーBノックアウトマウスの結果は予想外であったため、今後その詳細を検討する予定である。
血管トーヌス制御におけるCNP-GC-B系の意義にかかわる詳細なメカニズムを当初の予定通り検討していく予定である。血管平滑筋特異的GCーBノックアウトマウスの結果は予想外であったため、今後その詳細を検討すると同時に、血管内皮特異的GC-Bノックアウトマウス作成を行っているところである。
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