研究課題
私達が世界に先駆けて発見した新規遺伝子ARIAは血管新生を抑制的に制御する分子である。ARIA欠損マウスでは脂肪組織の血管新生が亢進する結果、肥満・メタボリック症候群に抵抗性を示すことがわかった。従って、ARIAの阻害は全く新しい肥満・メタボリック症候群の治療法となる可能性が高いと考えられた。ARIAはPTENとの結合を介してその効果を発揮するため、ARIA阻害化合物の作用点として、ARIA-PTEN結合阻害に焦点を当てた。私達はin silicoスクリーニングを行い、ある化合物(C30)がARIA-PTEN結合阻害作用を有することを見出した。本研究課題ではC30類似化合物のARIA阻害作用を検討することでARIA阻害化合物のリード候補を得ることを目的とした。70種類のC30類似化合物を既存の化合物リストから抽出し、そのARIA-PTEN阻害作用を検証した。その結果、4つのC30類似化合物にARIA-PTEN阻害作用があることが判明したが、4つの化合物は同じ基本骨格を有していた。4つの化合物はC30比して総じて低い細胞毒性を示したものの、ARIA-PTEN結合阻害作用はC30に比べて明らかに弱く、優れたARIA阻害剤を開発する手がかりを得ることは残念ながら叶わなかった。そこで私達は化合物スクリーニングを新たに行うためのスクリーニング系の開発を行った。リコンビナント蛋白を用いたcell freeのアッセイ系をアルファスクリーニングの系で構築することとし、Glutathioneアクセプター・anti-FLAG抗体ドナービーズの組み合わせで、リコンビナントARIA-PTENの結合を検出できた。しかし、バックグラウンドが相応に高く、Signal/Noise比 (S/N比)が悪いことが改善すべき問題として残っている。今後はバッファー中に界面活性剤やBSAなどを加えることでバックグラウンドを低減させ、S/N比を改善させることを目指した実験を行っていく予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PLos ONE
巻: 10(9) ページ: e0138624
10.1371/journal.pone.0138624.
Biochem Biophys Res Commun
巻: 465(3) ページ: 356-362
10.1016/j.bbrc.2015.08.002
J Biol Chem
巻: 290(6) ページ: 3784-3792
doi: 10.1074/jbc.M114.605287.