研究課題
1). PTRF/Cavin-1による心機能の制御機構の検討① PTRF/Cavin-1ノックアウト(KO)マウスの心筋細胞ではwild-type (WT)マウスの心筋細胞と比べ、カベオラの数の有意な減少が認められ、PTRF/Cavin-1が心筋細胞のおけるカベオラの形成に重要であることが明らかとなった。② WTマウスとPTRF/Cavin-1 KOマウスの心機能を比較検討し、PTRF/Cavin-1 KOマウスでは心収縮能の低下を認めた。また、PTRF/Cavin-1 KOマウスの心臓では心筋細胞の肥大と線維化の増加を認めた。③ WTマウスとPTRF/Cavin-1 KOマウスで心電図検査を行ったところ、WTマウスに比べPTRF/Cavin-1 KOマウスで低電位とQRSの延長を認めた。2). MURC/Cavin-4による心肥大・心不全の制御機構の検討① MURC/Cavin-4 KOマウスの心筋細胞ではWTマウスの心筋細胞と比べ、カベオラの数に有意な変化は認められなかった。② WTマウスとMURC/Cavin-4 KOマウスにα受容体刺激薬であるフェニレフリンを投与したところ、MURC/Cavin-4 KOマウスではWTマウスに比べ心肥大は抑制されていた。③ MURC/Cavin-4 KOマウスの心臓ではフェニレフリン刺激によるERKの活性化がWTマウスの心臓に比べ抑制されていた。④ WTマウスとMURC/Cavin-4 KOマウスに大動脈弓部の縮窄による圧負荷を加えたところ、MURC/Cavin-4 KOマウスではWTマウスに比べ心機能障害は軽度であった。⑤ MURC/Cavin-4を心筋細胞に過剰発現させたトランスジェニックマウスでは心機能障害がみられるが、BGP-15がインスリン様増殖因子1受容体(IGF1R)のリン酸化を亢進し、心機能の改善をもたらすことを見出した。これらの結果から、PTRF/Cavin-1とMURC/Cavin-4が心肥大や心機能に重要であることが明らかになった。
3: やや遅れている
PTRF/Cavin-1とMURC/Cavin-4が、心筋細胞の機能を維持するのに重要であることを明らかにできたが、細胞老化の制御機構が十分に検討できていないため。
PTRF/Cavin-1とMURC/Cavin-4の老化に伴う分子機構の関連とその制御機構を明らかにし、老化に伴う心不全・除脈性不整脈における役割の検討を行う。
本年度は消耗品の購入が必要なかったため物品費としての支出がなかったため。
実験に必要な消耗品の購入と研究領域の情報収集や研究成果の発表のための学会発表や論文投稿などに使用予定である。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Nat Commun.
巻: 5 ページ: 5705
10.1038
Proc Natl Acad Sci U S A.
巻: 111 ページ: 3811-3816
10.1073
http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/med2/index.html