研究課題/領域番号 |
26670416
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70467281)
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研究分担者 |
近藤 征史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00378077)
長谷 哲成 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30621635)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | EGFR遺伝子変異 / RNA干渉 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
1.本研究は「EGFR 遺伝子変異肺癌は、接着分子発現による上皮性性質保持によってクラスター形成し、アノイキスを回避して転移する」という仮説の検証を目的とする。EGFR 遺伝子変異肺癌はイレッサ等の分子標的治療によく反応するが、遠隔転移により死亡する症例が多い。応募者は、EGFR 変異肺癌が臨床的には高頻度に全身性の多発転移を発症するにもかかわらず、実験系では転移能の生物学的指標である軟寒天中での増殖(アノイキス(アポトーシス)抵抗性)を示さないことに着目し前述の仮説を着想した。 2.まず、接着分子として、最もよく知られ、応募者の過去の報告においてもEGFR遺伝子変異肺癌において発現が強いE-cadherinのRNA干渉によるノックダウンを行った。H358細胞を用いて、合成オリゴおよびshRNA発現レンチウイルスベクターによる遺伝子ノックダウンを試みた。異なるプロバイダーから購入した合成オリゴおよび、複数のことなるshRNA発現レンチウイルスベクターを使用したが、ノックダウン効率は最高で約50%にとどまった。アポトーシス評価をPI染色、FACS解析と、切断カスペースタンパクのウエスタンブロットで評価したが、ノックダウン細胞におけるアポトーシス量の変化を認めなかった。ノックダウン効率を改善するために実験の最適化を現在行っている。 3.並行して、E-cadherin以外でクラスター形成に寄与すると推測される既知の遺伝子を幾つか選択しRNA干渉によるノックダウンの準備を開始した。引き続いてアポトーシスへの影響を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クラスター形成に寄与する分子の代表として、まず、E-cadherinのRNA干渉によるノックダウンを行った。しかし、ノックダウン効率が十分に得られず、約50%にとどまった。ノックダウン細胞におけるアポトーシス解析をおこなったが、E-cadherinノックダウン細胞におけるアポトーシスはコントロールに比べ有意な差がなかった。この結果を受けて、E-cadherin以外のクラスター形成への寄与が推測される遺伝子のノックダウンの準備を開始した。以上よりやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
E-cadherin以外でクラスター形成に寄与すると推測される既知の遺伝子を幾つかピックアップし、RNA干渉によるノックダウンを行い、引き続いてアポトーシスへの影響を評価する。クラスター形成に寄与する有望な遺伝子が特定された場合は、量子ドットを用いた生体イメージングによりin Vivoでの検証実験を行う。
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