研究課題/領域番号 |
26670418
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西岡 安彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70274199)
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研究分担者 |
柿内 聡司 徳島大学, 大学病院, 講師 (50380100)
後東 久嗣 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (00437641)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝転移 / 肺癌 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
SCIDマウスによるヒト肺癌細胞の多臓器転移モデルにおけるこれまでの解析から、肺癌細胞株の幹細胞分画は野生株に比較し肝転移が増加することを確認した。これらの細胞株のマイクロアレイ解析から、肝転移と関連する数種類の遺伝子を同定した。本年度は、これらの遺伝子群から選択した遺伝子Bの作用を検討した。肺癌細胞株SBC5に対して、レンチウイルスによるshRNAシステムを用いて、恒常的に遺伝子Bの発現をノックダウンした細胞株を作成した。遺伝子導入は野生株と幹細胞様分画に対して行い、それぞれの遺伝子Bノックダウン株を作成した。これらの細胞株のin vitroにおける活性を、野生株と比較した結果、増殖能には有意な差を認めなかった。次にこれらの細胞株を用いて、SCIDマウスによる多臓器転移能を検討したところ、野生株の遺伝子Bノックダウン株においても、幹細胞様分画の遺伝子Bノックダウン株においても、肺転移や骨転移には影響を与えることなく、肝転移数のみが減少した。以上から、遺伝子Bは肺癌細胞の肝転移に関連した分子であることが強く示唆された。現在、遺伝子Bの強制発現株の作成のため、遺伝子発現ベクターの作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌肝転移に関連する分子の同定に向けて研究を進めており、当初のスクリーニング計画に沿って行ったマイクロアレイ解析の結果、遺伝子Bを同定した。また、遺伝子Bのノックダウン株を作成したところ、肺転移や骨転移に影響を及ぼすことなく、肝転移のみが減少したことから、遺伝子Bは肝転移に特異的に関連する分子である可能性が高い。したがって当初目指した肝転移関連遺伝子の一つが同定できていると考えている。これまでの検討結果を検証するための遺伝子Bの強制発現ベクターの作成がまだ完成しておらず、当初の予定からみてやや進行が遅れている内容である。以上から、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子Bのノックダウン細胞株はまだ1種類しか検討できていない。今後同様の実験を複数の細胞株を用いて検証する必要がある。さらに遺伝子Bの強制発現株も複数の細胞株で作成し、検討を進める予定である。同時に遺伝子Bに対する抗体作成に着手し、遺伝子Bの機能を阻害するブロッキング抗体をスクリーニングする。さらに倫理委員会の承認の後、ヒト肺癌の肝転移巣における遺伝子Bの発現とそのリガンドの発現について、免疫染色等の手法を用いて検討を行いたい。
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