研究課題/領域番号 |
26670420
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄介 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (80306696)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫寛容の誘導 |
研究実績の概要 |
細胞外ATPの経皮的な作用によりアレルギー性炎症の免疫寛容が起こることを証明するため、まずは直接ATPを経皮的に投与することとした。具体的には皮膚パッチを用いたマウス喘息モデルでパッチに卵白アルブミン(OVA)とATPを浸み込ませて、直接細胞外ATPを投与し、OVA気道曝露後の喘息様炎症を気管支肺胞洗浄液(BALF)で評価した。 BALFの好酸球数では予想に反してATPの作用が明らかでなかった。原因としてATPが表皮バリアでブロックされた、表皮で分解されてしまった、内因性のATPの影響に隠れてしまった、などが考えられ得た。細胞外ATPの投与方法・量、喘息モデル、アレルゲン(抗原)などの再検討が必要である。 一方、テープ剥がしによる表皮損傷を用いたモデルでは、安定的に喘息様の反応を抑制したため、こちらの作用機序を細胞外ATPに限定せずに検討した。その結果、テープ剥がしの刺激によりTh1型炎症が有意となりTh2型炎症を抑制していることが明らかとなり、これをAAAAI 2015 Annual Meeting (米国、テキサス州、ヒューストン)で発表した。 今後、ATPを直接投与して免疫寛容を誘導するモデルの改良を進めてその効果を観察していくとともに、もう一方の柱である、テープ剥がしによる喘息型炎症の抑制効果の詳細な機序をさらに検討し、細胞外ATP以外の免疫寛容誘導する可能性のあるメディエーターも視野に入れて探索を進めていく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していた結果と異なり、細胞外ATP直接投与による免疫寛容誘導の観察はモデルの改良が必要となった。 また、テープ剥がしによる表皮の機械的傷害の影響に立ち返って細胞外ATP以外のメディエーターも再検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外ATP投与のマウスモデルはATP投与方法の変更、抗原の変更、ATP受容体への作用薬やATP分解酵素の使用なども検討する。 表皮の機械的損傷は機序の同定の目的で、マイクロアレイ法や、角化細胞培養での機械的損傷など、in vitroの実験モデルも含めて検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた結果と異なり、細胞外ATP直接投与による免疫寛容誘導の観察はモデルの改良が必要となり、また数か月間実験を停止せざるを得なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞外ATP投与のマウスモデルはATP投与方法の変更、抗原の変更、ATP受容体への作用薬やATP分解酵素の使用などの新たなモデルの導入も検討する。 表皮の機械的損傷は機序の同定の目的で、マイクロアレイ法によるパスウェイ解析、角化細胞培養での機械的損傷など、in vitroの実験モデルも計画中である。
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