研究課題
細胞外ATPの経皮的な作用によりアレルギー性炎症の免疫寛容が起こることを仮定し、まず直接ATPを経皮的に投与した。具体的には皮膚パッチを用いたマウス喘息モデルでパッチに卵白アルブミン(OVA)とATPをしみこませて直接細胞外ATPを投与し、OVAを気道から曝露したのちの喘息様炎症を気管支肺胞洗浄液(BALF)で評価した。しかし予想に反しBALF中の好酸球数はATP投与の影響を受けなかった。一方、テープ剥がしによる皮膚損傷を経皮的感作時に用いたモデルではBALF中の好酸球数が抑制されたため、こちらの作用機序を細胞外ATPに限定せず検討した。その結果、テープはがしの刺激によりTh1型炎症が優位となりTh2型炎症を抑制していることが判明した。これをAAAAI 2015 Annual Meeting (米国、テキサス州、ヒューストン)で発表した。平成27年度には施設を変えて異なる環境下で同様のテープ剥がしとダニ抗原によるモデルでの再検を行った。BALF中の好酸球数は期待に反して明らかな変化を認めなかったが、テープ剥がし群では抑制性のサイトカイン産生の増加を認めた。BALF中の好酸球数は実験環境に大きく左右されるため、表皮損傷からアレルギー性炎症抑制性のサイトカイン誘導に至る上流の経路を探索し、細胞外ATP以外のものも含めた免疫寛容誘導因子の同定を行うこととした。その目的でマウス皮膚でのDNAマイクロアレイを行い、現在解析中である。
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