研究課題/領域番号 |
26670422
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
斎藤 史武 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30338040)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医学 / 転写因子 / 分化誘導 / ES細胞 / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
【ES細胞からの肺上皮細胞の分化誘導】昨年度より継続して、薬剤誘導型転写因子強制発現マウスES細胞を様々な条件で培養し、各種転写因子を強制発現させ、肺上皮細胞の分化誘導を試みた。昨年度の実験では、転写因子の強制発現により、ES細胞は上皮細胞のような形態のコロニーを形成する細胞に分化誘導されたため、その後、下記の方法などにて評価を行っている。 【直接リプログラミング法による線維芽細胞からはい上皮細胞への分化誘導】①肺の発生に重要な役割を果たしていると報告されている14の転写因子から、予備実験により4転写因子を候補転写因子として選定した。②生後3-5日の仔マウスの尾を培養して得られた線維芽細胞に対し、候補4転写因子の遺伝子を、単独もしくは複数の組み合わせでレンチウイルスシステムを用いて遺伝子導入し、強制発現を行い、培養を継続する系を確立した。③各種転写因子の遺伝子を導入され強制発現させた細胞を培養する条件を様々に変更(特異的培地の使用・液性因子の添加・培養条件変更のタイミングなど)し、培養される細胞が肺上皮細胞としての形態・機能を得られる条件を検討した。各種液性因子を混合した培地を用いた三次元共培養を行うことで、培養細胞におけるII型肺胞上皮細胞の特異的マーカーであるSP-C(surfactant protein C)の発現を示唆する結果が得られている。 【評価】上記、ふたつの系統の実験によって得られた細胞を、SPC-GFPトランスジェニックマウスを用いてのFACSによる評価、蛍光免疫染色や免疫電子顕微鏡検査などによる形態学的評価、などを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、現在の段階で、より具体的な培養条件の決定と評価方法の決定を行い、発表に向けての細部の調整を行っている予定であったが、予想よりも培養条件に変数が多く、より良い条件の決定に時間がかかってしまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ単一転写因子の強制発現によるES細胞の分化誘導については、肺上皮細胞の形質を持った細胞は得られておらず、別の方法による複数の転写因子の強制発現や、液性因子の添加など、さらなる分化誘導の手段が必要であると考えており、現在新たなプロトコルを検討中である。 直接リプログラミング法による線維芽細胞の分化誘導については、現在の方法を推進し、細かな培養条件の調整を行うことと、評価方法の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の計画よりも進捗に軽度の遅れが生じており、予定していた試薬の購入などがまだ行われていないことが主な原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の進行とともに、予定していた必要試薬などを購入することになる。
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