低分子量G蛋白質Rac1は多機能分子で、細胞骨格制御、酸化ストレス惹起、遺伝子転写制御、細胞の運動性など、多様な生物機能を細胞ごとに特異的な機序で調節する。本研究では腎糸球体ポドサイトにおけるRac1の役割を形態機能連関に着眼して解析するとともに、他細胞における役割と比較した。ポドサイトではRac1活性が過剰でも過小でもポドサイト傷害、アルブミン尿、糸球体硬化を生じ、またアクチン細胞骨格、細胞の運動性に影響を及ぼした。マクロファージRac1はM1サイトカイン産生を介して炎症性急性腎障害発症に関わり、心筋細胞のRac1はNOX4誘導を介して圧負荷心不全に寄与した。
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