研究課題
ポドサイトの足突起構造とスリット膜構造を作るのに必須であると考えられるタンパクとしてMAGI-2を同定し、そのFloxマウスを作成し、Podocin Creマウスと交配することで、ポドサイト特異的ノックアウトマウスを作成した。そのノックアウトマウスは、大量のタンパク尿が出現し、早期に腎不全で死亡してしまうことがわかった。また、電子顕微鏡の検討により、このマウスのスリット膜構造はほとんど認められず、足突起も消失していたことから、予想通り、MAGI-2は足突起とスリット膜の形成に必須なタンパクであると判明した。さらに、MAGI-2とスリット膜裏打ちタンパクとして同定されているDendrinが結合し、生理的条件下ではDendrinの局在をMAGI-2が規定していることが判明した。Dendrinは、ポドサイト障害時に核へと移行し、ポドサイトのアポトーシスを促進するが、その機序が、チロシンリン酸化酵素であるFynとユビキチンリガーゼであるNedd4-2によって制御していることがわかった。面白いことに、ポドサイト特異的MAGI-2ノックアウトマウスでは、Dendrinの核移行が認められ、ポドサイトアポトーシスが亢進しており、腎不全への進行は、MAGI-2欠損のためDendrinが核へと移行していることが原因と考えられた。スリット膜裏打ちタンパクのPodocinは、その遺伝子異常により先天的ネフローゼ症候群を発症することがわかっており、ポドサイトのスリット膜形成維持に重要な役割を果たしていることがわかっている。Podocinの遺伝子配列を利用したYeast two hybrid screeningを行うことにより、エンドサイトーシスに関連するSNX9を同定した。SNX9はポドサイト障害時に発現が上昇し、Podocinと結合することで、podocinをスリット膜裏打ち部から細胞体へ局在変化を誘発していると考えられ、スリット膜構造と足突起構造の変化に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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