研究課題/領域番号 |
26670433
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
脇野 修 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50265823)
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研究分担者 |
篠塚 圭祐 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00594558)
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グレリン / ミトコンドリア / マイトファジー / fission / fusion |
研究実績の概要 |
これまでの検討ではアンジオテンシンⅡ投与による腎障害モデルマウスにグレリンを投与し、ミトコンドリアを標的とする抗酸化ストレス作用を介して腎保護作用があることを報告した(PLoS One, 2014)。今回、末期腎不全の最大原因疾患である糖尿病性腎症に対するグレリンの長期投与の効果を検討した。C57BL/6JJマウス(雄)をControl群・STZ+NS群・STZ+G群の3群に分け、12週齢から連日12週間、STZ+G群にグレリン(ラット)10μg/日を、Control群およびSTZ+NS群に生理食塩水を腹腔内注射した。24週齢にて腎機能を中心に検討した。その結果STZ+NS群では尿アルブミンの排泄が増え、STZ+G群では尿アルブミン排泄が抑制された。STZ+NS群では体重減少したが、STZ+G群では体重減少が抑制された。腎病理像ではシリウスレッド染色において、STZ+NS群で線維化が亢進していたが、STZ+G群で線維化が抑制されていた。電子顕微鏡の所見では、STZ+NS群では近位尿細管細胞のミトコンドリアの膨化が認められたが、STZ+G群ではこの変化が抑制された。rtPCRではマイトファジーの因子であるPINK1およびParkinがSTZ+NS群で低下し、STZ+G群でこの低下が抑制され、ミトコンドリアの変化との関連が示唆された。面積、周囲長、最小径、最長径はSTZ投与でミトコンドリアの拡大を認めますが、最長径と最小径の比であるAspectRatioは差が小さく、elongationという言葉よりはenlargement、swellingといった表現が当てはまる現象と考えられた。一方でミトコンドリアのfusionを司るMfn2、Mfn1、OPA1を測定したが、有意差はなかった。fissionの因子としてはDrp1やFis1を測定したが、有意差はなかった。以上より糖尿病性腎症の進行抑制に対するグレリン長期投与の有効性が示唆された。
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