研究課題
本研究は、視床型CJDが遺伝性でプリオン蛋白遺伝子のコドン178変異を有するFFIの孤発型と同等なのかをヒトのPrPのFFI変異遺伝子を導入したノックインマウスを用いて感染実験を行い、その同等性を検討しようと計画したものである。視床型CJDの診断困難性を列挙すると、視床型CJDでは異常プリオン蛋白が非常に少なく、免疫染色で確認することはほぼ不可能である。病理像も、CJDの特徴であるspongiform changesを欠き、視床と下オリーブ核の神経細胞脱落のみであり過去には視床変性症と診断されていた。まず、我々は典型的な視床型CJD のMM2T症例だけでなく、MM1+2症例のなかにMM2C病変以外に下オリーブ核の神経細胞脱落を有する症例を3例同定した。従来は視床型CJD診断されていない症例の中にも、可能性として視床型CJDプリオンをもつ症例を世界で初めて指摘したことになる。この可能性を確実に証明するには、当初目標としたFFI型遺伝子のノックインマウスへの感染実験だけなく、異常化を促進する分子設計を行ったノックインマウス(ヒト・マウスキメラ型PrP、バンクボール型PrP)への感染実験も行わねばならないという当初の予想を越えた方向に研究が進展している。現時点で、異常化促進分子およびFFI型のノックインマウスは感染実験の最中であり観察期間中である。予想外の進展のため感染実験を行う症例が増え、またマウスの種類が増えたため、未だ感染実験の途中であるが、さらに我々の研究室では視床型CJDにおいてFFIとの共通点を見出した新しい検査方法を開発中であり、視床型CJDがFFI(致死性家族性不眠症)の孤発例と考えてよいのかという我々の研究テーマに対して感染性のみでなく、新しい根拠を提示する予定である。本研究に関しては、当初の予定をはるかに越えて、予想外の展開を見せつつある。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件)
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