研究課題
東北大学ではIBMの病態における免疫応答を重視し病態研究を進めてきた(Tateyama J Neurol Sci 2009)。一方で細胞の恒常性維持のためにはオートファジーやユビキチンプロテアソーム系に代表される不要蛋白処理機構が重要である。我々は京都大学神経内科との共同研究でミスフォールド蛋白質の分解に関わると考えられる26Sプロテアソームの機能低下が筋封入体形成に寄与するとの作業仮説を立てpmsc4/Rpt3の骨格筋特異的欠損マウスを作成し、筋特異的なプロテアソームの役割に関して検討した。筋特異的Rpt3欠損マウスではコントロールに比して筋成長不全ならびに筋力の有意な減退を呈した。2週齢にてプロテアソーム活性の有意な減少がみられたが、成長とともに活性は異常亢進となった。オートファジー関連の遺伝子発現は上昇していたが、C2C12マウス骨格筋細胞株を用いたin vitroでの薬理学的解析と合わせると、Rpt3欠損によりオートファゴゾーム形成能が低下することが示唆された。免疫染色、ウエスタンブロットでは,ユビキチン、p62、TDP-43、FUS/TLS、VCPなどのタンパク質の異常蓄積を認めた。電子顕微鏡解析では筋原線維の走行の乱れがみられた。適切なプロテアソーム活性が骨格筋ホメオスタシス維持に必須である。本モデルはプロテアソーム系およびオートファジー系の相互連関を明らかにするのに適していると考えられる。(Kitajima, Suzuki et al. J Cell Sci 2014)。MFMやIBMでは蛋白分解の異常が分子病態の背景にあると考察している。今後も骨格筋幹細胞におけるプロテアソーム系の役割やタンパク質凝集筋疾患の病態との関わりについて研究を進めていきたい。
3: やや遅れている
適切なIBM患者がおらず生検が行えなかった。
疾患特異的な培養を確立し、in vitroでの表現型を見出したい。またIBM病態に関連するRNAや蛋白の病理学的解析を進め、バイオマーカーの確立も目指す。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
J Cell Sci
巻: 127 ページ: 5204-17
10.1242/jcs.150961.