研究課題
IBMは骨格筋に縁取り空胞と呼ばれる特徴的な組織変化を生じ炎症細胞浸潤を伴う難治性疾患である。平成21年度より当科を中心にIBMの全国的な臨床調査を開始しDNAを含めた臨床検体を蓄積してきている。細胞の恒常性維持のためにはオートファジーやユビキチンプロテアソーム系に代表される不要蛋白処理機構が重要であり、京都大学神経内科との共同研究でミスフォールド蛋白質の分解に関わると考えられる26Sプロテアソームの機能低下が筋封入体形成に寄与するとの作業仮説を立てpmsc4/Rpt3の骨格筋特異的欠損マウスを作成し、このマウスで筋萎縮がみられることを確認した(JCS 2014)。MFMやIBMでは蛋白分解の異常が分子病態の背景にあると考えられる。今年度は次世代シークエンサーを用いた解析によりhnRNPA1遺伝子に変異を持つ家系を見出し、Neurology Genetics誌に報告した。さらにIBM患者骨格筋より筋芽細胞培養を行なう方法を確立し、生検筋から筋芽細胞を培養・凍結保管し、検討可能症例数を積み重ねている。今後、筋芽細胞を用いた培養実験により、患者筋でのプロテアソームの役割について検討を進めていく。さらに報告したhnRNPA1変異家系の患者より同意を取り、iPS細胞の樹立を行なった。運動ニューロンや骨格筋への分化を行ない、各細胞系列のマーカーの発現を認めた。今後、病態解析研究を継続して行なっていく予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Neurology Genetics
巻: NA ページ: -
NG/2015/000729