研究課題/領域番号 |
26670437
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山口 晴保 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (00158114)
|
研究分担者 |
山口 智晴 群馬医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50641461)
山上 徹也 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (60505816)
亀ヶ谷 忠彦 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (90455949)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 認知症 / 社会脳 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
認知症の評価尺度として、社会脳領域では標準化された評価法がない。そこで社会脳機能の評価法を開発し、認知症の臨床に役立てることが、本研究の目的である。 小児の発達過程の評価に用いられている社会脳機能検査(たとえば心の理論課題)の中で、認知症での評価に適するものを見いだす作業から始めた。認知症では複雑な言語指示を使うものは困難と考えられるので、教示がシンプルで、ゲーム感覚で楽しく実施でき、それでいて他者の意図理解や状況判断、場面の空気を読むことなどの社会的認知機能を評価できる指標を検討した。小児領域で既に心理検査として開発されている「子ども版表情認知検査」や「心の理論課題検査」などをベースにし、認知症高齢者でも社会的認知の評価として応用可能な要素を検討した。 その結果、2枚の情景画(隣人がテレビを見ているすきに、その人の饅頭を盗もうとしている情景画とそのような意図のない情景画の2枚組)から、登場人物の行動意図や状況の理解の程度を調べるテストを開発した。誘導尋問的に段階的な9個のヒント質問を手がかりとして与えることで正解に導く過程で、どの質問で理解できたかで理解能力を点数化した。このテストは、記銘力の低下している認知症高齢者でも教示の理解ができた。 そこで、健常高齢者45名と認知症76名を対象に、このテストの妥当性を検討した。具体的には他者の意図理解などを必要とする行為が描かれた情景画と含まれていない情景画を用意して、その相違点にどの段階で(幾つ目のヒント質問で)気付くことができるかを点数化して評価すると、認知症の進行と共に、得点が低下した。これらについて、データをまとめて論文として投稿できる様に準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会脳機能の新しい評価指標(行動意図を含む情景画と含まない情景画の違いに誘導質問のどの時点で気づくか)を作成し、データを蓄積し、論文化を進めている。第1弾の評価指標としては、順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、社会脳の新しい指標の論文を投稿し、出版にこぎ着けたい。そして、新たな指標開発に取り組みたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、最終年度である基盤研究Bの課題に力を注いだため、1割弱の残金を生じたが、ほぼ計画通りの支出となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度の1割ほどの残金と合わせて、この課題の遂行に専念する。
|