研究課題
研究1:複合型老人福祉施設に入居する認知症の疑い-重度認知症高齢者23名を対象に、認知症の重症度 (CDR)、認知機能 (MMSE)、BPSD (NPI-NH)、生活機能 (NMスケール、N-ADL)と認知症情動検査 (Mini-Emotional State Examination:MESE)を実施した。MESEと下位項目の総合的情動機能 (人情への反応、社会規範への反応、社会現象への反応など)はNPI-NHと有意な負の相関を示した (r=-0.551)。以上より、認知症高齢者の残存機能である情動 (社会性)が残っているほど、BPSDが出現しにくい可能性が示された。研究2:認知症高齢者における他者の意図理解について評価するため、記銘力低下などの交絡要因へ配慮した新たな課題を作成し、アルツハイマー型認知症の進行との関連について検討し、論文投稿中である。研究3:認知症ケアに携わる事がある医療従事者を対象として、社会脳機能の認知度や認知症ケアにおける社会脳機能の視点の有用性について予備調査した。これらの結果は未発表だが、具体的なケア場面への応用を検討した。研究4:地域の高齢者96名を対象とした研究で、認知機能が保たれている段階から社会的役割(老研式活動能力指標の下位項目)と歩行機能の低下が始まることを示した。研究5:もの忘れ外来の受信者を対象に認知機能(MMSE)、病識(SED-11Q)、うつ(GDS15)を測定した結果、病識が低いほどうつ傾向が弱いことを見いだし、論文化を予定している。
2: おおむね順調に進展している
多方面で研究を進め、論文化を進めている。また、成果を書籍に盛り込み、2016年に出版される予定。
認知症の人の社会脳機能に焦点を当てて、子供の発達との関係、自己モニタリング機能の評価などの研究を進め、認知症診療や認知症ケアで社会脳に着目していくことが重要だと示していく。また、これまでの成果を原著論文や著書として発表する。
分担研究者が次年度の調査介入研究用に費用を回したため、若干の残金が生じた。
来年度中に使用予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 図書 (1件)
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