CRISPR/Cas9法を応用してguide RNA及びCas9タンパクを同時に発現するpX330ベクターと変異導入オリゴヌクレオチドをマウス受精卵前核に直接マイクロインジェクションすることにより、家族性パーキンソン病(PARK17) のD620N変異と相同変異を有するVps35 KIマウス及びVps35 KOマウス(ヘテロ接合体)を高効率に得ることに成功した。得られたマウスに関して生化学的・病理学的・遺伝学的解析が進展した。ホモVps35 KOマウスは既報のようにembyonic lethalであったが、D620N KI /KOコンパウンドヘテロマウスはviableであったことから、D620Nアレルはgain of functionまたはpartial loss of functionの機構で病態を発症させることが示唆された。 さらにリソソーム生合成のマスター遺伝子としてしられる転写因子Tfebについて神経変性疾患病態との関連や治療応用の可能性について知見を得るため、恒常的活性化型Tfebを発現するノックインマウスの作製を行なった。Tfebの核内移行を制御するセリン211残基をアラニンに置換したマウス(CA-Tfeb KIマウス)をVps35 KIマウスと同様の手法で作製し、ライン化することに成功した。今後このマウスの解析を行なうとともに既存の各種神経変性疾患マウスとの交配実験を行なう予定である。
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