研究課題
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)では進行に伴い血清クレアチニン(Cr)が低下することが知られている。本研究ではSBMA患者におけるCrおよびその前駆体であるクレアチンの代謝異常の分子メカニズムを明らかにするため、SBMA患者を対象とした解析を行った。遺伝子検査で診断が確定したSBMA患者52名を対象とした。患者の評価時年齢は53.0±10.2歳、AR遺伝子CAGリピート数は47.8±3.8、評価時ALSFRS-Rは40.1±3.8であり、既報告と同等であった。SBMA患者の血清CrはALSFRS-Rなどの運動機能と強く相関した。SBMA患者では筋量と血清Crにも強い相関が認められたが、運動ニューロン疾患であるALSと比較して、筋量の割に血清Crが低下していた。そこで、SBMAにおけるクレアチン-Cr代謝について患者血清および剖検骨格筋サンプルを用いて詳細に検討したところ、SBMA患者ではCrの前駆体であるクレアチンの血中濃度が高いことが示された。各種疾患における剖検骨格筋内のクレアチン濃度を測定したところ、SBMA患者ではALSに比べ骨格筋へのクレアチンの取り込みが低下していることが明らかとなった。さらに、SBMAにおける骨格筋へのクレアチン取り込みの低下機序として、骨格筋におけるクレアチントランスポーターの発現がSBMAでは低下していることが明らかとなった。これらのことから、運動ニューロン変性による筋萎縮に加えて、骨格筋におけるクレアチントランスポーターの発現低下によるクレアチン-Crの代謝異常が血清Crに寄与してることが示された。
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