研究実績の概要 |
1.ヒト血液神経関門(blood-nerve barrier, BNB)由来内皮細胞とヒトBNB由来ペリサイトをポリカーボネート膜上に単層に重畳し、直接の細胞接触を保って培養するin vivoのヒトBNBにより近い細胞モデルが完成した。内皮細胞、ペリサイトそれぞれの単層培養よりも電気抵抗値が高く、デキストランなどの透過性も低いことが確認され、また、内皮細胞とペリサイトをポリカーボネート膜を挟んで離して培養する旧来の非接触共培養モデルよりも、電気抵抗値の上昇、デキストラン透過性の低下のいずれの点においても勝っていることを確認した。同モデルは現在国際特許申請中である。このモデルの完成により、ヒトBNB由来内皮細胞/BNB由来ペリサイトのクロストークがvivoに近い形で明らかになり、本研究提案の主眼であるペリサイトを操作することによる末梢神経バリアー機能の改変という課題を達成する上での実験基盤が確立したと考えている。 2.BNB由来ペリサイト活性化のsurrogateマーカーとしてのGDNFのほか、バリアー機能の指標としての電気抵抗値、デキストラン透過性を組み合わせることで、内皮細胞層を通過し、ペリサイトを活性化する物質をスクリーニングするシステムがより効率化できた。低分子物質のスクリーニングにあたっては、小野薬品工業が所有する脂溶性物質ライブラリを中心に検索する。小野薬品工業株式会社との共同研究が現在進行中である。
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