研究課題
我々が見出したコピー数減少を示す領域のうち、本年度は、最も2型糖尿病発症について、寄与度も頻度も高い第4染色体のサブテロメア領域について、検討を進めた。この領域の多型患者をさらに見出すことにより、CNV糖尿病の臨床的特徴を明らかとし、遺伝形式や発症原因特定につながるとともに、将来の臨床応用や治療薬開発にもつながると考えられる。そこで、まず、簡便かつ安価で実施できる方法を模索した。高密度カスタムメイドオリゴヌクレオチドタイリングアレイでの解析データに基づき、種々のプライマーを設定し、マスアレイを行ったところ、コピー数減少を示した11名中5名で、実際にコピー数が1であるとして減少を検出できた。このことから、タイリングアレイでのシグナル低下として検出された現象が別の手法でもゲノム変化として確認されたこととなり、簡便な診断法の開発に大きく発展するとともに、本ゲノム構造異常の実態解明に前進した。しかし一方で、タイリングアレイ解析でコピー数減少が見出されたすべての患者が検出できたわけではなく、アレイによるプローブの結合不良が示すゲノム構造変化について、第4染色体のサブテロメア領域に生じている現象は多様性を有していることが明らかとなった。以上の結果に基づき、本ゲノム構造異常の実態と機序解明につながるものと考え、この領域のゲノムシークエンス解析と全エキソーム解析を進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
マスアレイという新しい手法を加えることで、簡便かつ安価で実施できる新たな解析手法を見出した点で当初の計画以上の進展と考えられる。この結果、第4染色体のサブテロメア領域に生じている現象は多様性を有しているという予想外の結果が得られた。この領域のコピー数多型におよぼす機序や糖尿病発症につながる機序も含め、生物学的に新たな発見につながるものと考えられる。
第4染色体のサブテロメア領域に生じている現象は多様性を有していることから、この領域について、コピー数減少を見出している11名全員について、シークエンスを行い、各サンプルにおいて第4染色体のサブテロメア領域に生じている現象の実態を明らかとする。これにより、コピー数多型におよぼす機序が明らかとなり、新たな検査法の開発にもつながるものと期待される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 17件)
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