糸球体上皮細胞におけるインスリンシグナル伝達系と糖尿病腎症との関連を検討するため、糸球体上皮細胞特異的ノックアウト(KO)マウスを作製し、腎機能への影響を解析した。KOマウスは生後3週齢よりアルブミン尿を呈し、腎機能不全により10週齢までに死亡した。KOマウス腎臓では糸球体上皮細胞の腫大、および足突起消失が認められ、週齢の経過とともに糸球体硬化病変やPAS陽性尿円柱を有する尿細管が観察された。本研究において、糸球体上皮細胞におけるインスリンシグナル伝達系の障害は高度蛋白尿を誘発し、糸球体上皮細胞の機能制御において重要な働きを担うことが示された。
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