研究課題
Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR) はretinoblastoma protein (pRB)とともに脂肪細胞の発生において重要な役割を果たす。筋細胞分化における抑制因子であるEP300 interacting inhibitor of differentiation 1(EID1)の過剰発現により前脂肪細胞(3T3-L1細胞)におけるトリグリセリド貯蔵を減少させることが報告された[Lizcano F and Vargus D, BBRC 2010]。本研究では、脂肪組織特異的にEID1を発現するTgマウスを樹立し、EID1の脂質代謝及び、脂肪組織の分化・発生における機能を解明することを目的として解析を進めた。Browningの機序に対する新たな発見が期待されるとともに、肥満症や代謝症候群、インスリン抵抗性などに対する原因究明及び、創薬の基礎実験となることが期待できる。1. EID1トランスジェニックマウスの作成と維持ヒトEID1のcDNAの上流に脂肪組織における発現プロモーターであるaP2プロモーターを、下流にWPRE配列を組み込んだEID1発現ベクターを構築した。そのベクターを240個の受精卵に導入し8匹の雌の子宮に移植した。誕生した25匹のF0マウスから2系統のEID1トランスジェニックマウスを得た。現在、第4世代のEID1トランスジェニックマウスを維持している。2. EID1トランスジェニックマウスの解析野生型およびEID1トランスジェニックマウスの皮下脂肪、内臓脂肪、褐色脂肪組織を摘出しEID1タンパク質の発現をWestern blot法によって解析した。全ての組織において野生型およびEID1トランスジェニックマウスで発現に有意な差はなかった。
3: やや遅れている
EID1トランスジェニックマウスの脂肪組織におけるEID1の発現が野生型と差が認められなかったため、このマウスを使ったEID1のin vivoにおける機能解析が進んでいない。
EID1トランスジェニックマウスに導入された発現ベクターには核内受容体型転写因子であるPPARgammaが結合するaP2プロモーターが組み込んである。PPARgammaに対する特異的なリガンドであり抗糖尿病薬であるRosiglitazoneの投与(胃ゾンデによる経口投与もしくは腹腔内投与)により、aP2-EID1の転写を活性化することでEID1トランスジェニックマウスのEID1発現を促進できると考えている。
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