研究課題
私たちはこれまで下垂体機能低下症をきたす新たな疾患概念の提唱(高橋らJCI 2011)、エクソーム解析による病態解明(長谷川らJCEM 2014)、ES細胞から下垂体への分化(須賀らNature 2011)、下垂体腫瘍モデルマウスの作製(福岡, MelmedらEndocrinology 2015)など本分野で実績を重ねてきたメンバーで共同研究として本課題を遂行してきた。具体的には「疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究事業共同研究拠点」および厚労省難治性疾患等克服研究事業「間脳下垂体機能障害における診療ガイドライン作成に関する研究班」の一員として、また機能性下垂体腫瘍の手術については世界でも有数の実績のある虎の門病院間脳下垂体外科と共同研究体制を構築、エキスパートとともに有機的な共同研究を行い、すでにヒトiPS細胞から下垂体前葉分化方法樹立について一定の成果を得つつある状況である。
2: おおむね順調に進展している
すでにES細胞から下垂体前葉、後葉細胞への分化方法は報告されているが、ヒトES細胞、iPS細胞からの分化方法は未だ樹立されていない。そこで私たちはES細胞から下垂体前葉への分化方法を見出し報告した須賀らと共同研究を行いヒトiPS細胞からの分化方法の樹立を試みている。すでにin vitroにおけるラトケ嚢胞、少数のGH、ACTH分泌細胞分化が可能になっている状況である。ただし腫瘍細胞の解析に用いることができるほどの効率は得られていないために、さらに効率的な分化方法の樹立を目指した試行錯誤を行っている。また本方法で、下垂体分化異常の症例の病態解析には用いられる可能性があるため、先天性下垂体低形成症例から理研と共同で、疾患特異的iPS細胞の樹立を行っており、近日中にin vitroにおける病態の再現とその機序の解析を行う予定である。
以下のステップで進め達成を目指す。①より高効率のヒトiPS細胞から下垂体前葉細胞分化方法の樹立②ヒト疾患モデル(先天性下垂体低形成)における病態解析への応用③下垂体腫瘍症例のリクルートと下垂体腫瘍由来iPS細胞の作成、in vitroにおける高効率分化系の樹立④下垂体腫瘍由来iPS細胞からの下垂体前葉細胞におけるホルモン分泌能を指標とした創薬スクリーニング
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件) 図書 (5件) 備考 (1件)
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