研究課題
ヒト造血細胞において白血病原性遺伝子EVI1の制御機構を解析するため、ゲノム編集技術を用いて、EVI1を発現していることが既に知られているいくつかの細胞株について、EVI1をコードするゲノム領域のすぐ下流にGFPレポーターカセットを挿入した。これにより、細胞株におけるEVI1の発現を蛍光色素により可視化することに成功した。次に、EVI1を高発現している造血細胞由来の細胞株であるKU812のmRNAをポリ(A)ビーズなどを用いて抽出し、そこから逆転写によりcDNAライブラリーを取得し、レトロウイルスベクターに挿入しプールレトロウイルスライブラリを作製した。これとアンフォトロピックレトロウイルスパッケージング細胞を用いてウイルスを作製し、先に作製したEVI1可視化細胞株への感染を行ない、GFP(FITC)発現が導入前に比べて増加した分画を抽出した。この工程を数回繰り返したのちに、GFPの安定的な高発現を認める細胞を抽出して、挿入されているレトロウイルスの発現mRNAを解析した。その結果、これまでに少なくとも1つのelongation factorの発現によって、EVI1の発現量が増加することが判った。その他、意義の不明なcDNA断片をコードするレトロウイルスの感染によってもEVI1の発現量の亢進が起こる現象が認められた。そのようなcDNA断片の意義について、マウスprimary cellなどを用いて解析した。さらに、研究のスループットを高めるため、造血細胞よりもレトロウイルスの導入効率の高い上皮細胞を用いて、EVI1を高発現しており付近に染色体異常の存在が知られていない細胞株にEVI1-GFPレポーターカセットを挿入し、GFPの発現を可視化した。今後の研究のツールとして活用する予定であり、これまでにレトロウイルスライブラリの感染まで行った。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Oncogene
巻: 33 ページ: 5028-5038
10.1038/onc.2014.108.