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2014 年度 実施状況報告書

ETV2を中心とした細胞直接リプログラミングによる血液細胞の作成

研究課題

研究課題/領域番号 26670470
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

森田 林平  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00362541)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード転写因子 / リンパ球 / エピジェネティクス
研究実績の概要

申請者は単一の転写因子ETV2を導入する「細胞直接リプログラミング法」によりヒト成人皮膚線維芽細胞を機能的な血管内皮細胞に直接転換できることを報告した(PNAS 2015)。この中でETV2が皮膚線維芽細胞中に恒常的に発現しているFOXC2と共役的に作用することが直接転換に必須であることを明らかにした。一方、造血幹細胞と血管内皮細胞は共にhemogenic endotheliumという胎生期にのみ存在する特殊な血管内皮細胞より発生する。加えて、私達はヒト成人皮膚線維芽細胞が血球分化に重要な転写因子GATA2を恒常的に発現していることを見出した。
そこで、本研究では、
1)「ETV2と他の転写因子を組み合わせることでヒト成人皮膚線維芽細胞からhemogenic endotheliumの誘導が可能」
2)「このhemogenic endotheliumを経ることによりヒト成人皮膚線維芽細胞から機能的なT細胞を分化誘導できる」
と仮説し、血球分化に重要な30種類の候補転写因子のレンチウイルス発現ベクターを作成した。ETV2及びこれら30種類の転写因子をヒト成人皮膚線維芽細胞に導入し、OP9ストローマ細胞と共培養したところ、遺伝子導入12日後に汎血球マーカーCD43/CD45陽性細胞が出現した(1-2%)。この細胞のゲノムDNAを分離しゲノムに組み込まれている転写因子をPCRにより探索したところ、ETV2を含む22種類の因子が検出された。この結果はCD43/CD45陽性細胞が非常にヘテロな細胞集団であり、培養系をよりT細胞に特化させることでT細胞を誘導できることを示唆している。そこでIL-7存在下でNOTCHリガンドDLL1を安定発現しているOP9-DL1細胞と共培養したところ、CD3陽性細胞が出現することを見出した(2-3%)x

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

線維芽細胞からCD3陽性細胞を誘導できた。

今後の研究の推進方策

線維芽細胞由来のCD3陽性細胞からゲノムDNAを分離しゲノムに組み込まれている転写因子をPCRにより探索する。この成果を線維芽細胞にフィードバックすることにより、T細胞誘導因子を決定する。
更に、本方法で誘導されたT細胞の機能をIn vitroおよびNOD SCIDマウスに移植しin vivoで評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初の予想より早くCD3陽性細胞を得ることができ、サイトカイン・増殖因子・培地の使用量を減らすこととなった。

次年度使用額の使用計画

余剰分は当初の実験計画に加え、in vivoアッセイに重点を置くためにより多くのNOD SCIDマウスの購入に当てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ETS transcription factor ETV2 directly converts human fibroblasts into functional endothelial cells2015

    • 著者名/発表者名
      Morita, R. Suzuki, M. Kasahara, H. Shimizu, N. Shichita, T. Sekiya, T. Kimura, A. Sasaki, K. Yasukawa, H. Yoshimura, A
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A

      巻: 112 ページ: 160-165

    • DOI

      10.1073/pnas.1413234112

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [図書] ダイレクトリプログラミング (第3章 線維芽細胞→血管内皮細胞)2015

    • 著者名/発表者名
      森田林平、笠原秀範、吉村昭彦
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      秀潤社

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公開日: 2016-05-27  

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