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2014 年度 実施状況報告書

iPS 細胞技術を応用した自己免疫性筋炎研究への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 26670474
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

上阪 等  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00251554)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード膠原病内科学
研究実績の概要

申請者らは、多発性筋炎(PM)のマウスモデルを用いた研究により、自己免疫性筋炎の発症には、自己反応性T細胞の活性化と筋局所の自然免疫活性化が必要条件であることを見出した。また、筋損傷後の筋再生時には、再生筋線維が炎症性サイトカインを産生し筋自然免疫活性化という必要条件を満たすことも明らかにした。筋炎発症には遺伝因子も関与するが、PM/皮膚筋炎(DM)患者では、筋再生時に産生されるサイトカインの量や質が遺伝的に健常人とは異なり、筋炎の病態形成に関与している可能性もある。一方、筋原性転写因子MyoDをヒト人工多能性幹細胞(hiPS細胞)に導入し、筋特異的分子を発現する紡錘状の筋細胞への分化に成功した報告がある。そこで、健常人とPM/DM患者由来のhiPS細胞から筋細胞を分化誘導できれば、再生時のサイトカイン産生異常の検証や、その是正を標的とした新規治療薬を見出すスクリーニング系の樹立が可能と考えた。
今年度は、先ず、hiPS細胞由来の筋管細胞が再生筋線維と同じサイトカインを産生しうるかを検証した。そのために、健常人のhiPS細胞にMyoDを含むドキシサイクリン(Dox)誘導性ベクターを導入し、Dox存在下でのみMyoDを発現するMyoD-hiPS細胞を2クローン樹立した。MyoD-hiPS細胞は、Doxを含む分化培地では、既報と同様に、紡錘状の細胞へと分化した。また、Doxを含む培地で分化したMyoD-hiPS細胞の培養上清中のサイトカインをELISAで測定したところTNF-α、CCL2、CXCL1、CXCL8、TGFβ-1が確認できた。即ち、MyoD-hiPS細胞は、筋分化が進むにつれて、本来の筋管細胞がもつサイトカイン産生能を獲得した。2つのMyoD-hiPS細胞クローン間に形態学的変化や上述のサイトカイン産生能のばらつきはなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度の目的は
1) iPS細胞技術によるPM/DM筋自然免疫異常活性化の解析 PM/DM患者および健常人からiPS細胞を樹立、転写因子PAX-7を強制発現させた後、塩基性線維芽細胞増殖因子(b asic FGF)で刺激して筋芽細胞を得て、分化培地で筋管に分化させる。分化過程および筋管に伸展・膜傷害負荷 をかけた際の自然免疫活性化を炎症性サイトカイン発現で解析し、また、その発現機序も解析する。
2) 筋自然免疫異常活性化修復法の開発 PM/DM筋細胞に病態を形成しうる自然免疫活性化を標的として、これを薬理学的ないし遺伝学的に是正する方法 を模索する。
であった。1)はほぼ順調に達成しているが、2)は元来難しい課題であり、現状は想定範囲内である。

今後の研究の推進方策

その後、iPS細胞技術による筋芽細胞の樹立方法には複数があることが明らかとなった。方法論の差によって自然免疫活性化に差があるかどうかの検証も課題と考えられる。
今後は、PM/DM患者からiPS細胞由来筋芽細胞を樹立して自然免疫活性化状況を確認する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒトiPS細胞由来筋細胞は筋芽細胞同様に多発性筋炎/皮膚筋炎を増悪し得るサイトカインを産生する能をもつ2015

    • 著者名/発表者名
      長谷川 久紀、川畑 仁人、髙木 春奈、大津 真、上阪 等
    • 学会等名
      第59回日本リウマチ学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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